
丸紅インフォテック(丸紅インフォ、天野貞夫社長)はサーバーの販売を拡大する。ネットブックと組み合わせたソリューションをSIerや販社経由で売り込むほか、自社のカスタマイズセンターを活用し、顧客ごとのサーバーの仕様に即座に対応することによって単価アップを図る。国内のサーバー市場は縮小傾向だが、ライバルのダイワボウ情報システムなどは100億円程度の売上高を確保している模様。丸紅インフォは競合他社よりも実績が少ないことから、新戦略で巻き返しを狙う。
丸紅インフォは日本ヒューレット・パッカード(HP)の最新サーバー「HP ProLiant DL380 Generation6」を主力製品として販売する。日本HPは、丸紅インフォが扱うサーバーのなかで売上高トップの位置にある。主軸の製品に注力することで、売上拡大につなげていく狙いだ。日本HPとは、販社向けセミナーを共同で行うなど緊密な協力体制を構築している。
販売先としては、地方のSMB(中堅・中小企業)を主なターゲットにする。丸紅インフォは全国で4000社の地域販社と取引がある。サーバー拡販に向けては、こうした販社網を活用する。中小のSIer経由での売り込みも並行して行う。今年に入り、全国でサーバー関連のソリューションセミナーを仙台、大阪など6か所で開催。地方の販社との関係強化を図っている。
SMBへのサーバー販売では、同社が独占的に扱うアスースのネットブック「Eee PC」と組み合わせたシンクライアントシステムといったソリューションを提案する。
専任のシステム担当者がいなかったり、シンクライアントの使い方が難しいと感じているSMBには、地域のサポート会社と提携し、ヘルプデスクなどのサービス提供も検討している。
シンクライアントシステムは、セキュリティは高いが、価格も高いことがネックなっている。丸紅インフォでは、端末を低価格のネットブックにすることでコストを抑制して提供。景気後退で設備投資に慎重なSMBの需要を開拓する。システム販売にすることで、サーバー単体の販売よりも一案件あたりの利益を高める狙いもある。
サーバー拡販に向け、4月にサーバーの構成・見積の支援部署「サーバー・デザイン・センター(SDC)」の業務を拡充。2007年11月に開設した顧客の仕様ごとにサーバーのOSなどをセットアップする「キッティングセンター」と連携し、SIerや販社からの要望に即座に対応できる体制を整えた。「使い勝手のよいパートナーとして、多くのSIerや販社に利用してもらう」(小津好裕・MD・販売推進本部副本部長兼販売推進部長)考え。
丸紅インフォではカスタマイズサービスを充実することで、下落が進むサーバー単価のアップにもつなげる。これまで営業担当ごとの個別対応のみで終わっていた業務内容も、全社的なサーバー受注の窓口にするよう改めた。
サーバーの販売を巡っては、丸紅インフォ、ダイワボウ情報システム、ソフトバンクBB、大塚商会の大手ディストリビュータ4社での競争が激化している。丸紅インフォは3社よりも販売で出遅れており、新戦略を打ち出すことにより、2010年3月期には他社並みの100億円の売り上げを目指している。(米山淳)