フォーティネットの1次店に
ネットワーク製品のディストリビュータであるネットワールド(森田晶一社長)は、ネットワークセキュリティ分野で新事業の創造に乗り出す。同社はこの分野で、これまで2次店として複数メーカーの製品を扱ってきたが、このほどフォーティネットと1次代理店になる契約を結んだ。仮想化に定評のある同社がセキュリティを強化することで、はたしてどのようなビジネスを手がけていくのだろうか。

ネットワールドは、シスコシステムズをはじめジュニパーネットワークス、ソニックウォールなど、多くのネットワークセキュリティ製品を扱っている。フォーティネットの製品も、以前から扱っている。ただ、どの製品もメーカーの2次店というポジションでのディストリビューションだった。
2次店であることから、ネットワールドの販社に製品を提供する際、単に流すだけのケースが多かったという。これはメーカーとの間に1次店というクッションがあるためで、「販社やユーザー企業などが求める製品を市場投入するために、メーカーと話を進めることが難しかった」(荻上照夫・マーケティング1部アクセス・ネットワークグループマネージャー)と打ち明ける。そこで、メーカーの1次店になることを決意。相手先の選定にかかるときに、フォーティネットから声が掛かった。「タイミングがよかったことから、販売契約を結んだ」としている。フォーティネットが戦略的な新製品を投入したことも、契約締結の理由だ。
フォーティネットの1次店になったことで強化する点は、新製品や新サービス。ネットワールドでは各製品の技術検証ができることから、「セキュリティと仮想化を組み合わせたソリューションを創造する」という。具体的には、データセンター(DC)を対象にネットワークを含めたインフラ構築を重視。「スイッチやルータに関しては、マルチベンダー化の加速で他社との差別化を図る」としている。また、「フォーティネットと密に情報交換を行い、ニーズに合った製品を開発してもらいたい」との考えも示している。
販社に対する支援策については、「小規模ではあるが、勉強会を頻繁に実施する」。しかも、その勉強会には販社に加えてユーザーとなるDCも参加させ、販社が商談できる場としても位置づける。「販社のコネクションづくりを支援することで、ビジネス拡大につなげてもらいたい」との意向だ。
フォーティネットの1次店になったことで、今後は、「まずファイアウォール市場でシスコやジュニパーのシェアを奪うことに力を注ぐ」。販社経由で、SMBを中心に拡販していくという。
販売台数については、「フォーティネット製品が前年度比で10倍程度に膨れ上がる」と試算する。同社はネットワーク、ストレージ、仮想化、BC/DR(事業継続/災害対策)などのビジネス拡大に力を注いでおり、セキュリティも柱の一つに据えている。5本柱の確立で、その成長に注目が集まる。(佐相彰彦)