富士通グループの最大SE会社、富士通システムソリューションズ(Fsol)が、新たな目標に向けて動き始めた。今年6月にトップに就いた杉本隆治社長が定めた方針で、中長期的目標として、昨年度売上高に約300億円を上乗せした1000億円の到達を目指す計画を明らかにした。営業領域を関東エリアに絞り、各業種に最適化したパッケージソリューションの品揃え拡充と海外市場への進出で達成に挑む。

Fsolは、約2000人のソフト・システム開発者を抱える富士通グループ最大のSE会社。昨年度の売上高は697億円で、営業利益率は9.9%。富士通のSE子会社のなかでも、規模、利益率ともにトップレベルにある。各業種に適したソリューションパッケージ「Web SERVE」が中堅のユーザー企業に強く、約5000社の顧客を保有するのと、顧客の年商規模を問わず流通業向けソリューションが得意な点が下支えしている。
6月に新トップに就いた杉本社長は、8月中旬の本紙インタビューに対し、具体的な達成時期には言及しなかったものの、「3~5年をめどに売上高を1000億円まで引き上げたい」との目標を示した。「FsolはSE会社として富士通グループの中核的存在。他の地域SE子会社の模範的存在にならなければならない」との認識で、グループ全体のSE力強化の視点でも目標数値は必要との考えがある。
今年度は我慢の年に位置付け、売上高は若干の減収を見込むものの、来年度からは売上げ向上に向けて動き始める。
主な施策は、まず継続強化点として主力製品「WebSERVE」の品揃えを増やすこと。「WebSERVE」は、各業種で共通の業務ソリューションと、各業種特有の機能を盛り込んだソリューションを用意。各業種に事前に最適化したメニューがあるため、短期間で利用でき、カスタマイズが少ないのでコストも安いことが高評価につながっている。現在約100種類のメニューがあるが、今後はさらに各業種向けソリューションパッケージを開発する。既存顧客は5000社で、これを7000社まで増やす算段だ。
長期的な強化ポイントに定めるのが海外市場だ。「Fsolの既存顧客には、世界に拠点をもったり、海外企業とサプライチェーンを組んでグローバル展開したりする企業が少なくない。この場合、日本にとどまらない展開が必須であり、チャンスだ」(杉本社長)。具体策はこれからだが、成長市場とみて、海外での売上げを見込む。
富士通は今年7月、3か年の中期経営計画を発表し、2011年度に過去最高益を目指す目標を立てている。売り上げ規模こそ小さいが、グループ屈指の高収益企業のFsolが1000億円企業になれば、その達成に大きな力になる。