国内ストレージ市場が厳しい状況に陥っている。昨年秋からの大不況が大きな原因で、なかでもハードが減少するとの見方が出ている。一方、サービスやソフトウェアは堅調。今後、ハードウェアが伸びる可能性を秘めているのは、iSCSI搭載など、これから成長が期待される製品といえそうだ。
IDC Japanによれば、ハードとサービス、ソフトを含めた国内ストレージソリューション市場の売上額は、2009年に前年比4.5%減の6079億1300万円となる見通し。08年に引き続き、マイナスになることを予測している。
森山正秋・リサーチ第1ユニット(ストレージ/サーバー/HCP/PCs)グループディレクターは、「リーマン・ショック以降、ユーザー企業がIT投資を抑える傾向が依然として続いている」と理由を語る。減少する大きな原因はハード。サーバー出荷の低迷に伴い、ストレージも減少する可能性が高いという。「システム案件は小型化や延期、凍結などの影響が出ている。09年は、すべてのハードで前年比マイナスになることを見込んでおり、結果的にストレージ需要の成長も鈍化する」としている。
ソフトも、ハードの落ち込みにともなって09年で減少と予測。ただ、「バックアップのニーズが高まっていることから、微減にとどまるだろう」とみている。コンサルティングや構築、運用管理などのサービスは、わずかではあるものの「楽観視できないが、成長することは間違いないのではないか」と分析している。
国内ストレージソリューション市場が回復するのは、2010年後半から11年にかけて。08年の規模まで回復するのは11年以降という。08~13年の成長率については1.2%で、セグメント別ではハードがマイナス1.3%、サービスが3.8%、ソフトが4.2%。今後は、サービスやソフトの成長が市場拡大を牽引するとみている。
市場拡大の壁になっているのがハードというわけだが、ITベンダーにとってビジネス改善の打開策はあるのか。
森山グループディレクターは、「サーバー仮想化にともない、ストレージの管理が問われている。そこで、ストレージをリプレースする需要が出てくる」という。サーバー仮想化に関しては、「大企業に限らず、中堅・中小企業(SMB)でも導入する傾向が高まっている」。仮想化を切り口にビジネスを拡大できるというわけだ。また、ユーザー企業がコスト削減に関してシビアになっていることから、「既存のストレージを継続して構築しているよりもリプレースしたほうがトータルコストが安くなることを訴えることも重要」としている。
ニーズが高まりそうな接続方式については、「iSCSI搭載ストレージを活用したIP-SANが高い成長率を示す」と明言する。サーバーの仮想化が進み、SANを構築する傾向が高まる。しかし、FCベースでSANを構築するとスイッチが高価格であることから、「ユーザー企業が導入するうえでの障壁になっている」という。FC-SANは、ストレージの接続方式として成熟しつつあるとの見方がある。ここにきて、iSCSIが台頭してくる可能性を秘めているのだ。(つづく)