応研(原田明治社長)は、売上・仕入・在庫統合型ソフトウェア「販売大臣NX」の外部接続性やカスタマイズ性能を大幅に拡張した。新たなオプション製品をSIerに提供して製品自体の拡張性を高めたり、他社のWebデータベースとの連携性を強めることで、複雑な販売管理処理をする業種業態や、データを戦略的に活用する中堅・中小企業(SMB)の新規市場を開拓する。ユーザー企業の要望に応じて、「売り手」側で自由度の高い製品を安価に早く提供できるようにする重要性は高まっている。こうした連携性の拡充が、不況下で市場が低迷する業務ソフト販売の“切り札”になるかどうかが注目だ。
応研が10月13日に提供開始したのは、「販売大臣NX」に連動するオプション製品「販売大臣NX DBアドバンスユニット」。同製品を使うことで、得意先、仕入先、商品分類が最大5項目まで、部門が最大5部門まで拡張可能になるなど、マスター項目数を大幅追加でき、さらに高度な連携を実現できるようになった。西本征二・販売部販売チームリーダーは「主に、製造・卸売業などでは、多くの項目や特殊な計算が必要。この製品は『自由度』をコンセプトにしたモジュールで、さまざまな業種業態の企業に提供できる」という。
例えば、靴卸売業やアパレル業では、「S・M・L」や「cm」のサイズ別で数量を入力することで、サイズ別の出荷数量を月報などで管理できるようになる。また、自由にレイアウト印刷ができるので、統一伝票や納品書、請求書への印字も可能だ。同社製品に限らず、汎用的なパッケージ製品の場合はこれまで、特殊業界に販売管理ソフトを提供する際のこうした難しい不足機能は「パートナーがカスタマイズで拡張していた」(西本チームリーダー)と実状を話す。今回出したオプション製品を使えば、「SI(システム構築)を得意としない訪販系のパートナーにも提供できる」(同)と、事務機ディーラーなど、「販売大臣NX」を提供できる販社が増えるとみている。
一方、「販売大臣NX」で分析したデータをブラウザで一覧できるようにするため、サイボウズのWebデータベース「サイボウズ デヂエ8」と自動的に連携できる機能を追加した。これにより、同NXとシームレスにデータ連動ができ、同NXからCSVをインポートし、デヂエにエクスポートすることで、グラフィッカルに表示できるようになる。
岸川剛・取締役は「案件管理や情報をデヂエ側で管理するニーズは多い。既存販社のSIerやコンサルティング会社が上流からユーザー企業に提案できるようになる」と見込む。これにより、同社の販社層を拡大することをもくろんでいる。開発の自由度を高めたことで、カスタマイズ案件を失注していた競合他社のパートナーを切り崩すことができそうだ。(谷畑良胤)