BCNはインテル(吉田和正社長)と共同で、10月21日、ITベンダー向けイベント「SMB(中堅・中小企業)市場攻略セミナー」を開いた。不況下でもニーズの強い製品・サービスをシステムインテグレータ(SIer)やディストリビュータに提案するのがこのセミナーの目的で、今回は不況下でも需要が強い「PC資産管理」に着眼。「インテル vProテクノロジー」と、これを活用したPC運用管理ソリューションを取り上げた。
SMBの課題解決に最適なソリューション セミナーは中堅・中小企業(SMB)市場にフォーカスを当て、SMBのIT利用実態やIT投資計画などの市場動向と、現状のSMB市場でビジネス拡大が期待できる技術・ソリューションを紹介した。

基調講演に登壇したノークリサーチの伊嶋謙二社長は、調査資料をもとに中小企業の今を浮き彫りにした
基調講演では、SMBのIT動向に明るい調査会社ノークリサーチの伊嶋謙二社長が実情を解説。この不況下、SMBがITにどのような見解を示しているか、その実態を述べた。

インテルの坂本尊志氏は、地味だがPC管理に有効な手段として「vPro」を分かりやすく説明
「不景気の今、多くの中小企業は売上拡大、コスト削減に躍起だ。ITに対する投資額は従来以上に厳しいのは事実。だが、セキュリティやPCの運用管理には課題を抱えて悩んでいる状況でもある」と説明。さらに、クライアント端末の運用管理は、「シンクライアントや仮想化の導入は、SMBにとっては敷居が高い」との見解を明らかにし、アプリケーションの利用やITサービスとしての提案に活路が見出せると示唆した。
続いて、インテルのマーケティング本部ビジネス・クライアント・プラットフォームの坂本尊志氏が、SMBに今、最適なソリューションとして「PC資産管理」を取り上げ、それを実現する有効技術「インテル vProテクノロジー」を解説。
「『vPro』を簡単に説明すると、遠隔地にあるPCの電源スイッチを、管理者の手元にあるような感覚で操作できる技術。遠隔地から電源がオフになっているPCを起動し、ウイルス対策ソフトの定義ファイル更新やOSの修正パッチの適用などができる。つまり、PC運用管理サービスを容易に提供できることになる」と、その優位性を訴求した。
運用管理需要があるクラウド時代 さらに坂本氏は、SMBでは運用管理アプリケーションを利用する企業が30%にも達していない状況を説明。そのうえで、「米国のSMBでは、『vPro』を活用したPC運用管理サービスが人気で、サービス展開するMSP(マネージド・サービス・プロバイダ)が増加傾向にある」と米国の事情を披露し、ニーズの強さを訴えた。

「vPro」を活用したITベンダー向け運用管理プラットフォームを紹介したサイトロックの荒谷茂伸社長
最後のセッションでは、「インテル vPro テクノロジー」を活用した運用管理プラットフォーム「siteROCK Remote Station(SRS)」をサイトロックの荒谷茂伸社長が説明。サイトロックは、ユーザー企業向けにPCやプリンタ、ネットワーク機器などの遠隔運用管理サービスを販売する一方で、同様のサービスをITベンダーが展開できるように「SRS」をITベンダー向けに販売している。
荒谷社長は、「クラウド時代が到来しても、入出力端末としてPCやオフィス機器はユーザー企業の手元に残ることになる。クラウドが浸透するとサーバーの運用管理業務は減るが、PCの運用管理には課題が残る」と、PC運用管理需要の存在を主張。そのうえで、「SRSはITベンダーが自社でデータセンターやその運用ノウハウをもたなくても、迅速・容易にMSPとして運用管理サービスを展開するためのプラットフォーム。ライバル企業と差異化し、価格競争に巻き込まれない新たなクラウド型サービス展開を指向するITベンダーをサポートできる」と、「SRS」に自信を示した。
荒谷社長のセッションでは、サイトロックのPC運用管理サービスのユーザーとして、ソフトバンクグループのエムソリューションズの植草学氏が登場。北海道から福岡県まで全国に7拠点に設置するPCの運用管理で活用しており、「(運用管理関連コストを)200万円から50万円に削減できた」と、その効果を説明した。
市場動向から最新技術、具体的なソリューション、ユーザー事例までを網羅する内容に、ビジネスチャンスをつかもうと会場に集ったITベンダーは、終始真剣な面持ちで聞き入っていた。