ソリマチ(反町秀樹社長)は、青色申告ソフトで弥生からシェアトップを奪うという強気の目標を掲げている。反町社長は、「本数・金額ベースで売り上げが伸びたのは当社くらいではないか」と話す。店頭・ネット販売の強化策の効果が現れたと分析する。とくに一部量販店で伸びが大きく、店頭販売が好調だ。
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| 反町秀樹社長 |
青色申告ソフト市場は、弥生の独断場だ。全国の有力家電量販店からPOSデータを収集し、1年間のシェアトップメーカーを表彰する「BCN AWARD」(申告ソフト部門)を、2005年以来、6年続けて受賞している。
弥生の牙城を崩すのはそう簡単でないだろう。しかし、ソリマチはあくまで強気だ。同社が独自に集計しているデータによれば、「『7シリーズ』の頃には1位ベンダーの半分くらいのシェアしかなかったものの、現在までにシェアは確実に向上している」という。目立って好調だったのが、2009年12月から10年3月にかけての時期。120%台の成長率を維持し、製品全体でも108%と対前年比プラスを記録した。「みんなの青色申告」は、無償の電話サポートを受け付けており、繁忙期はなかなかつながらなかったほどだ。「Windows 7効果」も若干感じているという。
確定申告書のA・B表の印刷が可能である点が支持されているとみているが、同社の取り組みで目立つのは独自の販促活動だ。「店頭販売にはかなり力を入れた」。返品OKを謳ったり、分かりやすさを念頭に置いた解説本を配布したりしてきたのだ。
そのほか富士通と提携し、サーバー「PRIMERGY」とネットワーク対応製品をセットで販売。最大53%OFFとなるキャンペーンを実施した。
会計事務所との連携も並行して強化している。「顧問先企業への会計事務所の動機づけが重要なポイント」となっているからだ。
同社は、楽観的な見通しを立てているわけではない。市場が成熟し、ユーザーニーズが変わってきているとみており、危機感は強い。反町社長は怯まず、「青色申告ソフトでトップシェアを目指す」と、攻めの姿勢を打ち出している。09年から12年に向け、「ダーウィン12」を経営計画として全社的に推進。全社一丸で危機感を共有し、「新しいビジネスモデルへの変身を果たしたい」と宣言する。
ライバル製品のユーザーから同社製品に乗り換えてもらうのは容易ではない。ソリマチは、ライバルの背中を追う状況であるだけに、厳しい戦線となりそうだ。ある代理店関係者は「個人事業主のなかでも農業の分野がまだまだ未開拓。ソリマチは得意分野によりいっそう力を入れるべきだ」と指摘する。商機を掴むには、強みを生かした施策を投下していくことが求められているといえそうだ。(信澤健太)