コールセンターに従事する人材の標準知識スキル体系の整備、資格試験の開発、実施、教育関連事業などを目的とする日本コンタクトセンター教育検定協会(西野弘理事長)が設立された。これまで、業界全体におけるコールセンター従事者のキャリアパスとなる指標が存在しなかったことから、資格試験や業界共通の知識スキル体系「CMBOK(Call Center Management Body Of Knowledge)」の構築して展開する取り組みを行う。
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| 西野弘理事長 |
日本コンタクトセンター教育検定協会は、5月27日に設立発表会を開催、当日は約300社、400人強の来場者が訪れ、協会設立に対する関心の高さをうかがわせた。協会は、試験事業、教育事業、出版事業を主な事業内容とする。試験事業では、コールセンターの資格認定試験を企画・試験問題のメンテナンス、合格者の維持管理全般を担うとともに、試験のベースとなる人材知識スキル体系「CMBOK」の整備を実施する。教育事業では、教育機関教材の認定、ライセンス事業と、教育担当者、トレーナー向けの教育研修事業を展開する。
西野理事長は「20世紀のコールセンターと、21世紀のコールセンターは様変わりしている。専門性や品質の担保、効率性が重要視されている。新しい時代に合った先進性と専門性に富んだ付加価値の高いサービスにすることで、ひいては国力の向上につながることは間違いない」と意気込む。
初年度はコールセンター従事者の資格試験、CMBOKの構築などを行う。試験は今年10月から開始し、コールセンター集積地など10都市で展開する予定で、1万5000人の総受験者の獲得を目指す。
コールセンターの実情をみると、運用コストの80%が人件費。コールセンター業界のなかでは人材育成が課題として認識されている。コールセンターは企業の顔として重要な役割を担う一方、業界全体でキャリア形成のための有力な資格試験が存在しなかった。従事者は100万人にのぼるというが、同じコールセンターといっても、産業別に監督官庁が異なり、どの程度の規模になっているか、明らかにされなかったことが、キャリアパス構築が促進されなかった一つの要因として挙げられるという。同協会では知識スキル体系を共通の軸とし、金融をはじめとする各業界の知識レベルを上乗せしていくことによって、普及・定着に結びつけたい考えだ。(鍋島蓉子)