NEC(遠藤信博社長)は、グローバル進出を加速化している。その一環として、世界各国で異なる従来の人材管理方法・基準を、段階的に統一する。具体的には、サクセスファクターズジャパンのSaaS型タレントマネジメントシステム「SuccessFactors」の利用を進め、人材情報の「見える化」を目指している。
NEC
会社概要:1899年創業の電機メーカー。主な事業セグメントはITサービス事業、プラットフォーム事業、キャリアネットワーク事業、社会インフラ事業など。従業員は14万2358人、売上高は3兆5831億円(10年3月期)。
サービス提供会社:サクセスファクターズジャパン
プロダクト名:SaaS型タレントマネジメントシステム「SuccessFactors」
SuccessFactorsの概念図
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NECの辻賢一・ グローバルサービス事業部 マネージャー |
NECは、「中期経営計画V2012」でグローバル五極体制によるOne NECを掲げている。EMEA(欧州、中近東、アフリカ)、中華圏、アジアパシフィック、北米、中南米に地域統括会社を設置し、グローバル規模での運営体制を整備してきた。2012年度には、海外売上比率25%を目指している。
事業の拡大にあたって、検討の土台に上がったのが、世界各国で異なる人材管理方法・基準の統一だ。辻賢一・グローバルサービス事業部マネージャーは、「スキルをもったプロフェッショナル人材と幹部人材の二つに対象を絞って、トライアルで新システムの導入を進めることにした」と話す。
着目したのは、米国に本社を置くサクセスファクターズジャパンのSaaS型タレントマネジメントシステム「SuccessFactors」だった。社員プロファイルとキャリア開発、後継者管理、パフォーマンス管理のモジュールを導入することを決定した。
国産ベンダーの製品と比べて、とくにすぐれている点としてNECが評価したのが、後継者管理だ。このほか、アプリケーションがサクセスファクターズの自社開発であることや、導入期間が3か月ほどであること、数十万ユーザーが利用している独シーメンスをはじめとする大企業の導入実績があることなどが選定の決め手となった。
実装は、2010年11月中旬に開始し、3月に終了した。「途中、震災で1か月近く遅れたことを勘案すれば、構築期間は3か月程度」(辻マネージャー)と、短期間で済んだ。
まずは、海外20か国の拠点で、従業員の対象を絞って人材管理方法・基準を統一した。社員プロファイルなど、各拠点の状況に応じて、「SuccessFactors」の機能を順次展開する方針だ。海外拠点のシステムは比較的、作り込みが少なく、統一が容易だと判断した。数百ユーザーから利用を開始し、日本を含めた他拠点のグローバル統一と展開は、今後段階的に進める。
辻マネージャーは、「2012年度までに、確実に5000ユーザーにまで利用を拡大したい」と意気込む。一般社員も含めて、「SuccessFactors」のユーザーを増やしていく方針だ。最終的には、1万5000ユーザーの獲得を目指している。
期待する導入効果は、「見える化」だ。従業員の経歴やスキル、業務実績、評価などの人材情報を共有しやすくなるという。「従業員がそのつど、業務内容を振り返って、目標の達成度やスキルを確認し、それからまた業務に取りかかって、足りないところをラーニングで補強するといった人材育成のPDCAを回すことができるようになる。従来は十分にできていなかったことだ」(辻マネージャー)。
課題は、既存システムの「SuccessFactors」への置き換えだ。これまでは、手組みのタレントマネジメントシステムを国内で導入し、海外ではサードパーティベンダーのパッケージを拠点ごとに展開していた経緯がある。
国内で作り込んでいる独自の社内認定制度システムなどは、オンプレミス型で従来通り運用するという選択肢を残している。辻マネージャーは「どうしても移行できない部分は残す可能性がある。100%『SuccessFactors』にするか、一部既存システムを残すのかはまだ決まっていない」と状況を語る。
これまで、幹部の登用は海外拠点に任せきりだった。「SuccessFactors」の導入で、「見える化」の第一歩を踏み出すことになる。(信澤健太)
3つのpoint
・人材パフォーマンスの「見える化」
・約3か月という導入期間の短さ
・世界各国で導入実績が豊富であるという信頼性