日本での事業を成功させた人物が南アジアを統括する――。ロードバランサー(負荷分散装置)などを提供する米・A10 Networksの日本法人であるA10ネットワークスの小枝逸人社長が、今年4月、南アジアを統括するヴァイスプレジデントに就任した。「南アジアでは、日本のモノやサービスが高く評価されている」と語る小枝社長。日本市場で培ったノウハウを生かして、事業活動のテリトリーを広げようとしている。
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A10ネットワークスの 小枝逸人社長 ヴァイスプレジデント 南アジア |
A10ネットワークスは、データセンター(DC)向けのハイエンド市場を得意としている。F5ネットワークスジャパンやブロケードコミュニケーションズシステムズと競合するベンダーで、このところ日本市場での存在感を増している。「売り上げを毎年3倍レベルで拡大してきた」(小枝社長)ことによって、全売上高に占める日本市場での売上高構成比を約30%(2009年12月期)から、約38%(2010年12月期)へと引き上げた。米国本社のトップは、小枝社長の辣腕ぶりをみて、担当地域を日本だけでなく、南アジアにまで拡大することを決意した。
インドからオーストラリア・ニュージーランドまでを含む南アジアは、これまで米国本社が、中国・台湾・韓国と合わせたかたちで担当してきた。今年4月には、DCの普及によってネットワーク機器の需要が急拡大しているアジアでの事業拡大を図って、A10ネットワークスは本社のアジアの担当地域を中国・台湾・韓国に絞り、日本法人の小枝社長が日本と南アジアを統括する新組織を立ち上げた経緯がある。
「テリトリーが広がったのは、日本法人にとって、とても喜ばしいことだ」。小枝社長は、南アジアのヴァイスプレジデントに就任してから、現地の販売代理店とのパートナーシップを築いて販売チャネルを強化するなど、新市場の開拓に向けて積極的に動いてきた。すでに、成功の兆しもみえている。「今年4・6月の南アジアでの3か月売り上げ見通しは、昨年1年分の同地域での売上げを上回った」(小枝社長)というように、好調なスタートを切っている。
A10ネットワークスが新しい市場として狙っているのは、成長著しいインドをはじめ、シンガポールやフィリピン、マレーシア、タイなどの東南アジア諸国だ。小枝社長は、「今年中はまずインドを事業展開のベースとして、今後どこの国にフォーカスしていくかを検討する」とロードマップを語る。同社は、南アジアでの製品展開にあたって、日本市場と同様に、高性能を実現しながら価格を抑えているということを前面に押し出していく方針だ。
今後の取り組みとして、小枝社長は、「南アジアで当社ブランドの認知度の向上を図るキャンペーンを実施したり、各国の市場に合わせて製品価格の見直しなどを推し進めていく」という。と同時に、日本でのシェア拡大を狙っていく構えだ。「日本でも十分に伸びるポテンシャルがある」。小枝社長は、南アジアと日本の両市場の開拓に意欲を示している。(ゼンフ ミシャ)