主要なコンピューターメーカーは、インテルの最新プロセッサ「Xeon E5ファミリー」を搭載したx86サーバーの新製品を、3~4月にかけて続々と発表している。日本IBM(橋本孝之社長)は、4月13日、x86サーバーの新製品を発表した。処理能力の向上を図ったほか、サーバーの運用管理性能を高めている。(取材・文/木村剛士)
クラウドを意識した新サーバー
日本IBMが今回発表したのは、ブレード型の「IBM BladeCenter HS23」とラック型の「IBM System x3650 M4」および「IBM System x3550 M4」「IBM System x iDataPlex dx360 M4」、タワー型の「IBM System x3500 M4」である。
ブレードの「IBM BladeCenter HS23」は、クラウドシステムでの利用を想定した新機種で、管理機能を内蔵しており、サーバーとストレージ、ネットワークを事前構成した仮想化基盤向けソリューション「BladeCenter Foundation for Cloud(BCFC)」向けのサーバーと位置づけた。処理能力を62%向上させ、稼働する仮想マシンを20%増やせる新技術も搭載している。
また、「IBM FastSetup for BladeCenter」というBladeCenter向けの新たなセットアップツールを搭載し、導入にかかる手間と時間を削減している。「これまで何日もかかっていた大規模システムの導入作業が数時間に短縮できる」という。
また、需要の中心であるラック型の戦略機種「IBM System x3650 M4」では、同クラスの従来製品に比べて、2.6倍のメモリ容量とネットワークパフォーマンスの向上を図った。「IBM System x iDataPlex dx360 M4」は、柔軟性が特徴で、設置面積や電源、冷却インフラの制約があるなかでも、高いパフォーマンスが求められるデータセンターの利用を想定して設計している。日本IBM独自の水冷技術を採用しているモデルでは、空冷式システムに比べて、エネルギー効率が最大40%向上し、ノードあたりの熱回収率は90%を達成した。環境性能を従来以上に高めた。

ラック型の「IBM System x3650 M4」

タワー型の「IBM System x3500 M4」
新管理モジュールで作業も容易に
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東根作成英 システムx事業部事業戦略 担当部長 |
日本IBMは、新x86サーバーとともに、統合管理モジュール「Integrated Management Module(IMM)」をバージョンアップした「IMM2」もリリースした。IMM2は、ユーザーとパートナーのサーバー導入と運用に関する業務負担を軽くするためのもので、「前回よりも使い勝手を向上させた」と、東根作成英・システム製品事業システムx事業部事業戦略担当部長コンサルティングITスペシャリストは自信を示す。
東根作担当部長は、「導入・運用業務を可能な限り簡素化したいという要望は強まっている。IMM2は、大規模なクラウドシステムでも中堅・中小規模システムでも利用価値があるモジュール。他社も同様の機能をもつモジュールを用意しているが、使いやすさは他社には負けていない」と話す。これらの特徴をもった新機種を、日本IBMは従来通り販売パートナーを通じた間接販売で拡販する。セミナーや個別勉強会などを行って、新製品の強みや特徴をパートナーに浸透させていく考えだ。
IT調査会社のノークリサーチの調べによると、日本IBMのx86サーバーの販売台数シェア(2011年度上期)は、NEC、日本ヒューレット・パッカード、富士通、デルに次ぐ5位だが、存在感は高まっている。東根作担当部長は、「システムを仮想化するためのソリューションとしてサーバーは引き続き非常に売れており、市場環境は決して悪くない」と話しており、シェア拡大に向けて強い意気込みを示している。