高級ホテル・旅館の専門予約サイト「一休.com」を運営する一休(森正文社長)は、ビジネスを順調に伸ばしている。事業拡大に伴う社員の増加に対応するために、2011年、新しいオフィスに引っ越したが、移転を機に社内のネットワーク環境を一新した。全国各地を回っている営業部隊のメンバーが外出先から安全に社内ネットワークにアクセスできるよう、専用機器が不要のワンタイムパスワード(OTP、一回のみ利用できるパスワード)システム「PassLogic」を導入した。
一休
会社概要:高級宿泊施設の予約サイト「一休.com」をはじめ、ビジネスホテル予約サイトやレストラン予約サイト、マーケットクーポン販売サイトの運営を手がけている。1998年に設立。従業員数は112人(2012年3月31日現在)。
サービス提供会社:ディーアイエスソリューション
プロダクト名:「PassLogic」など
「PassLogic」のパスワード生成の仕組み
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一休 システム基盤・インフラ部 仙波勲システムエンジニア |
一休は、同社のサイトに掲載して予約対象とするホテルや旅館からコミッション(成果報酬)を受け取り、ユーザーは普通よりも低価格で高級宿泊施設を予約することができる、というビジネスモデルで事業を展開している。一休の営業部隊のメンバーは、常に新しい宿泊施設を開拓するために、全国各地のホテルや旅館を回っており、出張で会社にいないことが多いという。
同社のシステム基盤・インフラ部でシステムエンジニア(SE)を務める仙波勲氏は、「オフィス移転前のネットワーク環境では、遠隔地から社内ネットワークにアクセスすることができなかった」という。したがって、顧客情報の入力や管理のために社員が会社に戻る必要があったのだ。
一休は、2011年のオフィス移転を機に、社内ネットワークの構成を全面的に見直した。ネットワーク一新の中核となる仕組みとして、営業部隊のメンバーが外出先での時間をより効率的に使い、遠隔地から安全に社内ネットワークに接続することができるよう、シスコシステムズのセキュリティアプライアンス「ASA 5500」とパスロジ社のワンタイムパスワード(OTP)システム「PassLogic」を連携させた。これによって、強固なセキュリティ性をもつ認証環境を構築した。その構築を手がけたのは、ネットワークに強いシステムインテグレータ(SIer)のディーアイエスソリューションである。
仙波SEは、「ネットワーク環境の刷新にあたって、なるべくトラブルが発生せず、安定しているネットワークの構築を求めていた。そして、何よりも安全なリモートアクセスの実現を重視した。複数のSIerに提案を依頼し、比較・検討した結果、当社のニーズに一番応えてくれたディーアイエスソリューションの製品を選定した」と語る。
一休が構築したシステムは、ファイアウォールや侵入防御システム、VPNなどのセキュリティ機能を融合する「ASA 5500」を、構成がシンプルで低コストで導入できるOTP製品「PassLogic」と組み合わせた点が特徴だ。「PassLogic」は、パスワードを生成する専用機器(トークン)が不要で、ウェブブラウザだけで利用することができる。ログインごとに乱数表によってパスワードを発行し、トークンを持ち歩かなくても安全なリモートアクセスが可能となる。パスワードは一回利用すれば無効になるので、パスワードの定期的な変更や、社員がパスワードを忘れた際の再発行といった管理作業を省くことができる。「『PassLogic』を導入することで、限られている当社のIT管理者のリソースをより効率的に使うことができるようになった」(仙波SE)と、メリットを語る。
一休は、今後もビジネスの拡大を目指して、ITの活用による業務の効率化に取り組む。仙波SEは、「社員がどこにいても、円滑に社内コミュニケーションができることを目指して、ビデオ会議システムの導入を検討している」と、ITを積極的に活用する姿勢をみせている。(ゼンフ ミシャ)

「一休.com」では、低価格で高級宿泊施設を予約することができる
3つのpoint
・安全なリモートアクセスができる
・他のOTP製品よりも低価格で構築できる
・外回り営業の業務効率の向上が期待できる