Platform ID
会社概要:インターネット広告代理店であるオプトのシステム開発部が独立し、2011年7月にPlatform IDを設立。マーケティング用のデータ分析プラットフォームなどを提供する。従業員数は63人(2012年4月現在)。
プロダクト提供会社:F5ネットワークスジャパン
プロダクト名:BIG-IP LTM
Platform IDのシステム構成
Platform ID(野内敦社長)は、ウェブ上の購買履歴などの情報を収集してユーザーの行動データを分析し、ニーズに合わせて最適な広告を表示するマーケティング用プラットフォームを展開する企業だ。同社は、プラットフォームの基盤となる情報システムのパフォーマンスを向上するために、ネットワークファイアウォールやロードバランサ(負荷分散装置)の機能を統合するF5ネットワークスジャパンの「BIG-IP Local Traffic Manager(LTM)」を導入した。
Platform IDは、2011年7月、インターネット広告を手がけるオプトと、CD/DVDや本などのレンタルや販売を行う「TSUTAYA」を運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)の合弁会社として設立された。ユーザーの行動パターンを分析することによって、ウェブサイトの広告枠にユーザーニーズに最適な内容をリアルタイムで表示することができる「Xrost(クロスト)」をはじめ、マーケティング用のプラットフォーム製品を提供している。
同社はF5の製品を導入する以前は、ルータやファイアウォール、ロードバランサなど、個々の機器で構成されるシステムを「Xrost」などのプラットフォーム製品ごとに構築し、運用していた。ところが、「Xrost」のユーザー企業が増え、「Xrost」の月間ページビュー(PV)数が50億に上るなど、同社の情報基盤への負荷が増大。そんな状況にあって、Platform IDは今後も増え続ける見込みの負荷に対応するために、システムのパフォーマンス向上を迫られていた。システムを担当するADPLAN開発部の平正時氏は、「従来は、個々の機器を使ってシステムを構築していたので、各機器の運用や管理にかなりの時間やコストがかかった。システムの強化をきっかけに運用・管理の負担の軽減を目指して、ファイアウォールやロードバランサなどを統合するソリューションに着目した」という。
Platform IDは、もともとF5ネットワークスジャパンのロードバランサを使っていたこともあり、平氏は新しいシステムを構築する統合型製品として、F5の「BIG-IP LTM」を選定した。この製品は、ネットワークファイアウォールやロードバランサなど複数の機能を1台の機器に集約するので、システムの効率性が高く、機器の運用・管理負荷を軽減することができる。
平氏は、「『BIG-IP LTM』を採用して、従来型のシステムを統合型のものに移行するにあたって、IT導入の採否を決める上司に統合型システムのメリットを理解してもらうのに、相当苦心した」と苦笑いする。平氏の上司は、従来型のシステムなら一つの機器に問題が起きてもシステム全体への影響がそれほど大きくならないと考えていた。それが統合型システムに移行すれば、問題が発生したときに全システムが停止するリスクがあることを懸念していたそうだ。そこで平氏は、上司を説得するために、「統合したほうがシステムが安定する」ことを具体的な数値で示そうと、指標を用いて問題発生時のシステム稼働への影響を可視化する「障害予報」をつくり、上司に見てもらったそうだ。
「障害予報は、トラブルシーンに合わせて、指標の数値が高ければ高いほどシステムに障害が起きる確率が高いというもので、IT現場にあまり詳しくない上司にも理解してもらいやすいように作成した」と平氏。力を尽くしてつくった障害予報が効果を発揮し、上司はBIG-IP LTMの導入にOKを出したという。
Platform IDは、「BIG-IP LTM」を活用している新しいシステムの稼働を今年4月に開始した。システム構成をシンプルにして、今後、新規のプラットフォーム製品を企画したら、サーバープールを新設するだけで、迅速にサービスを開始することができる仕組みを実現している。平氏は「上司への説明は難しかったが、運用コストの削減などに関して新しいシステムのメリットが大きく、頑張ってよかったと思う」と顔をほころばせた。(ゼンフ ミシャ)

ADPLAN開発部 平正時氏3つのpoint
・統合型で運用コストをカット
・障害率を下げてシステムの安定性を向上
・迅速に新サービスを開始