NTTデータ経営研究所
シニアスペシャリスト
小豆川裕子
会議におけるICTのニーズ
以前から、日本企業のホワイトカラーの生産性は低いといわれてきた。その要因の一つとして、会議が目的を十分に果たしていないことが挙げられる。実際のところ、企業は会議や打ち合わせでICTツールをどのように使い、生産性向上に役立てているのか。会議の手法を価値創造(仕事の生産性向上やイノベーションの創出など)の貢献度合い(肯定/否定それぞれの合計)別にみると、「PC、タブレット端末、プロジェクタ、ディスプレイなどを使ってペーパーレス化を進めている」が、肯定と否定の差が最も大きかった。ペーパーレス化によって、会議の準備や議事録作成の負担が軽くなっただけでなく、資料を事前に配布して最初から本質的な議論ができるようになったからだとみられる。
将来の会議で「あったらいいなと思う」技術については、「リアルタイム翻訳技術」や「議事録の自動作成技術」「前回の状態をそのまま復元する技術」「意思決定者、キーパーソンの発言を時系列順に抽出する技術」への期待が大きい。リアルタイム翻訳技術は、技術的にはかなり進化していて、高い精度を求めなければ利用に耐える段階にまできている。
企業で開かれる会議などが全体業務に占める割合は、全体平均で15.4%だった。会議の課題は、「無駄な会議などが多い」が45%でトップ。「会議などの時間が長い」「会議などの頻度が多い」が続く。企業規模別にみると、「無駄な会議などが多い」のは従業員数5000人以上の企業で、48.5%を占める。業種別にみると、製造業である。この従業員数5000人以上の製造業には、従業員数99人以下の企業の倍以上、リアルタイム翻訳技術のニーズがあることがわかった。
テレワークにおけるICTツールの利用実態
東日本大震災後にテレワークに対する注目が高まってきたことを踏まえて、2011年に2回、BCP(事業継続計画)の観点でテレワークに関する調査を行った結果、勤務先の実施率は20%程度だった。今回の調査では、若干減って16.7%。回答者自身の実施率が55.6%だった。計画停電などの影響で一時的に割合が高まったが、元に戻りつつある。在宅勤務時やモバイルワーク時で、最も多く利用するICTツールは「PCメール」で、「電話会議」が20~30%を占めた。日本全体でスマートフォンの普及率は30%弱に過ぎない。だが、これから少しずつビジネスの現場に普及していくのではないかとみている。
(構成/信澤健太)
見逃したらソン!最新データ
▼CA Technologies調べ
『メインフレームに関する意識調査』
世界では、81%の企業が今後も自社のIT計画にとってメインフレームが極めて重要な役割を担っていると回答した。日本では、メインフレームの役割を「非常に重要である」と回答した企業が先進国で唯一50%に達し、その重要性を認識する企業が非常に多い。
▼IDC Japan調べ
『国内クライアント仮想化市場のベンダー競合分析』
市場別のトップ3は次の通り。シンクライアント専用端末市場のベンダーシェアは、デル、HP、NEC。クライアント仮想化ソフトウェア市場は、マイクロソフト、シトリックス、ヴイエムウェア。クライアント仮想化ソリューション市場は、富士通、日立製作所、NEC。