OpenStackの有力ディストリビュータである米ミランティスが日本法人を設立し、日本市場に本格参入した。オープンソースのIaaS基盤ソフトとして急速に注目度が高まっているOpenStackだが、日本では、インターネットサービス系の企業などで一部導入が進んでいるものの、ビジネスとしての規模はまだそれほど大きくない。IaaS市場では「Amazon Web Services(AWS)」がトップを独走するが、既存のパブリッククラウドサービスは、AWSを含めてプロプライエタリ(非公開で独占的)なものが多く、OpenStackには、こうしたサービスのロックインからユーザーを解放し、オープンなクラウドを実現する技術として期待する向きもある。ミランティスの上陸が、国内のOpenStack浸透を後押しすることになるか、注目を集める。(本多和幸)
高まるOpenStack熱
1999年設立の米ミランティスは、現在、OpenStackに特化したビジネスを展開している。商用のディストリビューション「Mirantis OpenStack(MOS)」を開発・販売しているほか、コンサルティング、導入支援、保守、教育サービスまでをトータルで提供。約700人の社員中、OpenStack専門の技術者を600人以上抱えている。グローバルでのユーザー数は130社以上で、シスコシステムズ、ペイパル、AT&T、シマンテックなど、大規模なウェブサイトを運用しているユーザーが多い。
日本進出にあたっては、日本法人としてミランティス・ジャパン合同会社(下平中・リージョナルディレクター)を設立するとともに、伊藤忠テクノソリューションズ(CTC、菊地哲社長)とリセラー契約を結んだことを明らかにした。
米ミランティスのボリス・レンスキー・共同創業者CMOは、このタイミングでの日本進出について、「市場規模は重要なファクター。世界のソフトウェア市場の8%を日本が占めていて、これは米国に次ぐ世界2番目の規模だ。さらに、日本は通信インフラなどを含め、クラウドサービスのための環境が整い、OpenStackを受け入れる準備ができている」と、背景を説明する。東京では例年、OpenStack Days Tokyoというイベントが開催されているが、今年は2月3~4日の開催期間中、およそ3000人が来場した。参加者は昨年の倍以上に増大しており、ユーザーやITベンダーの関心は間違いなく高まっているようだ。OpenStackの開発コミュニティメンバーとしても活動するレンスキーCMOは、今年のOpenStack Days Tokyoにも参加し、「グローバルイベントであるOpenStackサミットに次ぐ規模になっている」と、自らの目で日本市場の有望性を確認した。
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