ソリューション提案が販売のカギ
日本市場でも、当面のターゲットはグローバルと共通で、大規模なウェブサービスを運用している企業を中心に、CTCとの協業で案件を開拓していく。より細かくみると、ユーザーは2種類に分けられ、「社内システムや自社のサービスのために大規模なクラウドインフラを構築しようとする企業と、クラウドインフラそのものをビジネスとして提供する企業のいずれも有力なお客様候補」(下平リージョナルディレクター)だという。
これまで米国では直販が中心だったが、ビジネスが拡大フェーズに入ったとみており、米国も含め、グローバルで販売パートナー網の拡充を進めていく方針だ。日本での取り組みは、その成否を占う試金石にもなる。レンスキーCMOは、「OpenStackは初期の段階では、パートナーに理解してもらうのも難しかった。だから直接ユーザーとビジネスをする必要があったが、その認知度が高まり、状況が変わった」と説明する。また、CTCを日本でのパートナーとして選んだ理由については、「日本で高い評価を受ける大手SIerであると同時に、OpenStackのコミュニティでもCTCは非常にアクティブに活動している。さらに、OpenStackの認知度が市場で高まるなかにあって、お客様は単純にOpenStackだけを導入するというよりも、さまざまなテクノロジーのコンポーネントを含めて、ソリューションとして提供してほしいというニーズが高まっている。CTCは、そうした提案ができる」と話し、同社の技術・提案力を高く評価している。
CTCの安藤俊・情報通信システム事業グループ情報通信事業企画室室長も、「今後、アプリケーションを柔軟にリリースしていきたいというニーズが高まっている。それを実現する実行基盤としてOpenStackを重要なラインアップの一つに加えたということ。アプリケーションレイヤも含めて、フルスタックの提案で勝負していく」と、レンスキーCMOの期待に応じる。
一方で、「HP Helion OpenStack」や、「Red Hat Enterprise Linux OpenStack Platform」など、有力な商用OpenStackがこの1~2年で市場にどんどん登場してきている。そんななかで、CTCはあえてミランティスとの協業に踏み切った。その理由について安藤室長は、「実績面が大きい。ミランティスは商用でのOpenStackの適用事例が非常に多いし、OpenStackの開発にも深く関わっている。さらに、OpenStackだけに投資を集中させていて、長いおつき合いが期待できると考えた」と話す。
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