上海核心信息技術
コア
城戸孝吉 董事長
生年 1958年
出身 大阪府
中国赴任生活 2013年5月から
●戦略分野を選別して集中 当社のビジネスは、現状、円建ての対日オフショア開発事業が約8割、元建ての中国国内向け事業が約2割の構成となっている。オフショア開発の市場環境は非常に厳しい。今後は、中国国内市場を重視し、セキュリティや環境などの戦略分野を選別して、ビジネスを拡大していきたい。
すでに中国国内では、エンジニアの派遣や組み込みソフトの受託開発を推進しているが、今後はソリューションの提供にも力を注ぐ。例えば、セキュリティ分野では、IT資産管理統合ソリューション「ITAM」や、情報漏えい対策ソリューション「CWAT」、環境分野では、同済大学と共同で水質自動分析機器を開発している。これから先、パートナー企業と連携しながら実績を積み上げていきたい。とくにセキュリティ対策は、日系設計メーカーなどで関心が高まっている。
新規ソリューションにも挑戦する。セキュリティ分野では、富士フイルムと協業して、高角と望遠の映像を一台で同時に撮影できるカメラを開発している。中国で関心が高まっている電力などのインフラ監視や、街角や交通の監視に活用できることから、政府系に強い地場SIerと連携して販売したい。また、中国の農業分野で、IT活用の動きが活発化していることから、4月をめどに、ほ場の環境センサを活用した農業クラウドサービスを立ち上げて、現地の農業関連企業に提案していく。
2015年度(15年12月期)は、国内向けビジネスを成長によって、売上高を前年度比で10~15%増やしたい。
普拉内特計算機技術(北京)
キッセイコムテック
飯嶋 弘 総経理
生年 1963年
出身 長野県
中国赴任生活 月半分程度の出張通い
●自社商材で中国市場を開拓 キッセイコムテックの100%子会社として、これまで日本向けオフショア開発ビジネスを専業としてきたが、今後は中国国内のビジネスにも力を注いで、持続的な成長を図っていくつもりだ。
国内市場を開拓するための戦略は、自社ソリューションの拡販である。主力商材としているのは、コンテンツ管理システム「FinLibrary」だ。画像や動画、Officeファイルなどのさまざまなコンテンツをサーバーに保管し、スマートデバイス上に配信して閲覧するシステムで、営業・商談時の資料説明や、店舗販売時の商品説明、会議での資料共有、工場など作業現場での資料参照などのシーンで活用することができる。まずは、中国に進出している日系企業をターゲットに拡販し、将来はローカル企業にも提供範囲を広げたい。
中国では、競合製品を提供する日系ベンダーもいるが、「FinLibrary」は、競合製品と比べてユーザーインターフェースがすぐれている。指一本で操作でき、利用方法を細かく説明しなくても、ユーザーは簡単に使いこなすことができる。画質もよい。日系ITベンダーからは、高い評価をいただいており、着々とパートナー網の構築が進んでいる。
2014年以降、中国では企業のタブレット端末の活用が進んでいて、すでに日系大手光学機器メーカーで、約450ライセンスの導入実績がある。中長期での需要を期待しており、5年後には20~30社に販売することが目標だ。
恩梯梯数据英特瑪軟件系統(上海)
NTTデータ イントラマート
大利秀幸 総経理
生年 1968年
出身 神奈川県
中国赴任生活 2014年11月から
●再生を図る 売上高の8割近くを占めるオフショア開発に依存したビジネスモデルから脱却し、中国事業の再生を図る。中国でシステム開発基盤「intra-mart」の販売・保守サポート事業を飛躍的に伸ばしていきたい。
戦略は、チャネル販売の拡大だ。これまでは、全売上高の約8割を直販で賄っていたが、今後はパートナーを通しての販売に力を入れる。日系IT企業を中心とする既存パートナー約30社への支援を手厚くすると同時に、非日系の販売パートナーを新たに10社程度拡充する。すでに金融機関に強い香港の有力ITベンダーと手を結んだ。
「intra-mart」の訴求ポイントも変える。これまでは「文書ワークフロー」など、ワークフローエンジンを強みとしてきたが、今後は、中国でニーズが高まっているクラウド対応や、BPM(ビジネス・プロセス・マネジメント)の切り口で提案する。受注単価が高い保険業を中心に開拓したい。
さらに、日本で提供しているクラウドサービス「Accel-Mart」のビジネスモデルを中国に持ち込む。「intra-mart Accel Platform」上にパートナー企業が構築したアプリケーションを、月額制のクラウドサービスとして提供するもので、日本ではおよそ50種類のアプリを提供している。2015年の半ばには中国での展開を開始したい。
これらによって、オフショア開発と国内向けビジネスの売上構成比の逆転を図る。顧客層も非日系企業へ広げ、まずは2015年度(15年12月期)に国内向けビジネスに占める非日系の割合を4割に引き上げる。
客楽来技術咨詢(北京)
クララオンライン
家本賢太郎 総経理
生年 1981年
出身 愛知県
中国赴任生活 隔週ペースで出張通い
●コンサルでITインフラに相乗効果 当社は、ホスティングなどのITインフラ事業に端を発しているが、「顧客が求めているものはITではなく、ビジネスの成功だ」という視点に立って、現在では、ゲームや動画などのデジタルコンテンツ企業向けに、DC・ネットワークの市場調査、中国の法制度・規制に沿った戦略策定、顧客探しや交渉の代行業務といったコンサルティング事業も展開している。
コンサルティング事業は好調で、2014年は案件が前年比2倍に増えた。中国は、日本のデジタルコンテンツの需要が旺盛だ。日本の放送局から動画コンテンツを買い付ける単価は、他国と比べて中国の動画サイトが圧倒的に高額だ。
コンサルティングを通じて、当社のITインフラを利用する中国ローカル企業も増えている。デジタルコンテンツ事業を展開するには、ITインフラの活用が不可欠だからだ。当社のIaaS「鴻図雲」では、顧客のうち、4割程度がローカル企業。IaaSだけを利用したいローカル企業には、価格が高い日系ベンダーを選択するメリットは少ないが、高品質を求めていたり、日中間でビジネスを行うことを望む企業に対しては、コンサルティングが差異化要因になる。
ITインフラ事業は、日系企業だけをターゲットにするのであれば市場規模の割に競合が多くて厳しいが、中国全体で考えればDC需要は底堅く、運用ノウハウや人的リソースが足りない状況だ。コンサルティングを通じて、日系・ローカル系の両方に、ITインフラの利用を推進していきたい。