用友ビジネスを大解剖
強さの秘訣はこれだ
前ページでは、用友の基本情報を押さえてきた。ここからは、「製品・販売戦略」「注力分野」「海外市場戦略」「パートナー」の4カテゴリに分類して、用友のビジネスの実状を探っていく。
製品・販売戦略
充実した製品ポートフォリオ
●99%の業界をカバー 
劉全宝
副総裁
用友私有雲運営中心
総経理 用友は製品戦略として、ERPでは大企業向けの「NC」シリーズ、中堅・中小企業(SMB)向けには「U8」シリーズ、小・零細企業向けには「T+」と、顧客の規模別の製品を取り揃えている。
また、SOAアーキテクチャを採用した製造業向けの「U9」など、業界別ソリューションも各種取り揃えている。多くの業界別子会社を抱えているのはそのためだ。劉全宝・副総裁用友私有雲運営中心総経理は、「用友グループの総ユーザー数は、およそ200万社。製品ポートフォリオを充実させたことで、中国の99%の業界をカバーしている」と説明する。
さらに、システム開発管理基盤「UAP(Unified Application Platform)」を保有。これを活用することで、ユーザー企業は、自社に必要なアプリケーションを柔軟に開発できる。UAPはNCの開発に使用された基盤なので、同基盤で開発したアプリケーションは、用友のシステムと簡単に連携することが可能だ。多様な製品を取り揃えているだけあって、研究・開発(R&D)には多額の費用を投じている。2013年度には、売上高の18.2%を占める7億9409万元を投資した。
●財務会計独特の優位性 販売戦略では、チャネル網の開拓に積極的だ。現在、中国国内で約3000社パートナーを有しており、間接販売比率は約80%に達している。中国では一般的に、高品質で高価な製品よりも、最低限の機能を備えた安価な製品のほうが受け入れられやすい傾向があるので、パートナー企業が扱うハードルは低い。
さらに、導入時に余計なカスタマイズが不要なことも国産の強みだ。例えば、中国の財務局に提出する会計証憑や会計帳簿をERP・会計ソフトで生成する場合、中国語での入力・表示はもちろんのこと、出力する財務諸表の様式も当局の要求する基準を満たしている必要がある。用友は、財務局用の財務諸表を自動で出力する機能を標準で搭載しているが、未搭載のグローバルERPでは、追加のカスタマイズが導入時に求められ、初期費用が膨らんでしまう。
また、用友はパートナーに対しては、UAPを無償で開放している。パートナーは、用友製品との連携が容易なアプリケーションを安価に開発・提供することができる。
こうした強みによって、用友は中国のERP市場でシェア1位を堅守。調査会社のCCIDによると、2012年のシェアは30.7%となっている。
注力分野
インターネット企業に転換
●会社名を変更 
王文京
董事長 今年1月31日、用友は北京市でパートナー向け年次イベントを開催し、今後はクラウドやモバイルなどのインターネットサービスと、金融サービスに力を注ぐことを明らかにした。
王文京董事長は、「ソフトウェア事業を強化するとともに、インターネットサービスと金融サービスを戦略事業として発展させることで、用友はインターネット企業への転換を遂げる」と説明。同時に、会社名を従来の「用友軟件」(用友ソフトウェア)から「用友網絡科技」(用友ネットワークテクノロジー)へと変更した。これまでの主力商材であったERP・会計ソフトは、企業のIT環境の一部でしかない。インターネット企業へと変貌を遂げ、さらなる成長を図るという決心を、社名変更によって表したことになる。
そのための戦略商材が、新製品「iUAP」だ。システム開発管理基盤であるUAPの強化バージョンで、クラウドサービスやモバイルソリューションを開発するためのコンポーネント群「iEOP」を追加したもの。ユーザーやパートナーは、これによって簡単にインターネットを活用した自社サービスを展開できるようになるという。用友製品と連携するインターネットサービスを増殖させ、新たなエコシステムを形成しようというわけだ。
●法人向け金融サービスに商機 金融サービスでは、現時点で3製品を取り揃えている。一つは、統合支払い管理システム「U網銀」。これまで個別に管理していた複数の取引先銀行への支払いを、単一のシステムに統合して管理できる。現在、システムは中国の主要銀行18社に対応。今後は、これを100社まで拡大していく。
二つ目は、オンライン決済サービス「暢捷支付」。中国で急速に普及している決済サービス「支付宝(アリペイ)」の企業版といったところだ。
三つ目が、オンライン金融商品「友金所」だ。オンライン口座の資金を「友金所」のアカウントに移動することで、金利を得ることができるというもの。中国では、先行して「支付宝」の口座を通した金融商品「余額宝」が提供されており、ユーザー数はすでに1億4900万人に達している。用友の「友金所」は、2014年10月にサービスを開始し、2か月で1万9000社が登録し、1億4000万元が取引された。王董事長は、「7月までに1000億元の取引額を目指す」と意気込んでいる。こうした金融サービスは、これまでコンシューマ向けのものが多かった。用友では、企業向けサービスの開拓余地が大きいと判断して、事業に参入したものとみられる。
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