スマートフォンの「freetel(フリーテル)」ブランドを展開する国産メーカー、プラスワン・マーケティング。2012年10月の創業時には社員が4人だったが、freetelブランドのスマートフォンをリリースしてから、現在では社員60人を超える規模に急成長している。新しいメンバーが次々と入社してくるなかで業務を円滑に遂行していくには、データを共有するための環境が不可欠だ。同時にデータのバックアップ環境も必要と考えた同社が選んだのは、AOSテクノロジーズの「AOSBOX Business」だった。
【今回の事例内容】
<導入企業>プラスワン・マーケティングスマートフォンの「freetel(フリーテル)」ブランドを展開する国産メーカー。低価格でもしっかり使えるスマートフォンとして評価が高く、急成長している
<決断した人>代表取締役
増田薫 氏
情報共有とバックアップの環境を構築するにあたって、自ら検証してツールを選定した
<課題>会社が急成長し始めるなかで、その成長を気にすることなく利用できる拡張性の高い情報共有とバックアップの環境を必要としていた
<対策>ハードウェアの調達を気にすることなく利用できるクラウドサービスを選択。クラウドの評価は難しいため、実績で判断した
<効果>新入社員でもすぐに活用できるほど使いやすいため、専任の担当者が不要。クラウドなので、会社が急成長しても柔軟に対応できる
<今回の事例から学ぶポイント>スモールスタートの会社でサーバーを社内に置くのは大きな負担になる。クラウドであれば、初期導入費用を抑えられるため、導入もしやすい
スマートフォン市場の風雲児
MVNO(仮想移動体通信事業者)による通信サービスが一般に認知されたことによって、SIMフリーのスマートフォンに注目が集まっている。その多くが海外メーカーのスマートフォンということもあって、国内メーカーのプラスワン・マーケティングに対する注目度は高い。2012年10月、たった4人でスタートした同社は、現在では社員数が60人を超える規模に成長している。
プラスワン・マーケティングは、製品のよさでも注目度が高い。例えば同社の「freetel priori2」は、9980円という価格ながら、しっかり使えるスペックとして高い評価を得ている。LTE対応のハイエンドモデルの「freetel XM」でも、2万4980円というリーズナブルな価格に抑えている。同社の増田薫代表取締役は、「年内には国産部品を使って純国産のスマートフォンをリリースしたい」と語っている。国内メーカーの多くがスマートフォン市場で苦戦しているということもあって、同社に期待するユーザーも多い。
クラウドは実績で評価
2012年10月の創業当時から、増田代表取締役は社内データのバックアップ環境と、社員が利用するデータ共有環境が必要だと考えていた。「日々の営業活動で重要なデータがつくられる。そういったデータは会社の重要な資産なので、安全に管理する環境が必要。しかし、それをどう管理するかが課題だった」と増田代表取締役は考えた。
まず、検討したのはオンプレミス型とクラウド型のどちらにするかだが、答えは明確だった。社内にサーバーを置いてシステムを構築するのは、導入コストと管理負荷が大きい。とくに、社員数が少ないなかで専任の管理者を置くことは難しいことから、クラウド型が有力な選択肢となる。ただし、クラウド型であれば何でもいいわけではない。「安全性が確保できないのであれば、使う意味がない」(増田代表取締役)。クラウドに対しては、セキュリティや障害への対策で漠然とした不安を抱くユーザーが多い。クラウドベンダーが安全性を強調しても、使ってみないと実感できないこともあって、実績を重視することにした。
こうした条件を満たすツールのなかで、プラスワン・マーケティングが選んだのは、AOSテクノロジーズのAOSBOX Businessだった。このツールは、データの保管先として「Amazon Web Services(AWS)」を使用している。「世の中には、さまざまなクラウドサービスがあるが、どれが安全なのかを判断するのが難しい。そこで、実績を重視した。AWSは世界で普及している。その点でも、最も信用できるクラウドサービスだ」と増田代表取締役は評価した。
また、ツールの選定では、使いやすさも重視した。増田代表取締役は、候補に挙がったツールを自ら使って評価したという。「AOSBOX Businessの操作が最も簡単だった。本当に使いやすい。オペレーションのトレーニングはまったく必要ない」。新入社員でも、特別なトレーニングをすることなく、すぐに利用することができているという。
データ復旧サービスの導入へ
創業時は、4人でスタートしたプラスワン・マーケティング。それから1年半は、4人のままだった。それがスマートフォンの発売から、社員が急増することになる。現在は社員が60人を超えているが、AOSBOX Businessを導入したのは社員が10人の頃であった。
「当初からデータ共有の環境が必要だと考えていた。社員が増えることで、例えば、みんなで利用するファイルが最新かどうかを判断できない状況になることを危惧していた。データ共有環境があれば、そのような問題を回避できる」と増田代表取締役。クラウド型を選択したことで、急増する社員とデータ量に柔軟に対応できた。会社が急成長しても、ツールを変更することなく、利用し続けることができている。
当初は会計系データをバックアップするためにAOSBOX Businessを導入したが、現在では社員のデータ共有環境や、社員のPCのバックアップにも利用している。今回の実績を高く評価し、今後はAOSテクノロジーズのデータ復旧サービスも導入することを検討している。「AOSテクノロジーズは、データ復旧サービスの実績は国内トップクラス。社内だけでなく、当社のスマートフォンのユーザーにも、データ復旧サービスを提供したい」と、増田代表取締役はAOSテクノロジーズとの協業を模索していく考えだ。(畔上文昭)