クオリティソフトが事務局を務める任意団体「PC・ネットワークの管理・活用を考える会」は、基調講演や事例講演、パネルディスカッションなどを行うイベント「PC・ネットワークの管理・活用を考える会 2015」を、東京・半蔵門のグランドアーク半蔵門で開催した。中小企業のIT化の実態、端末・ライセンスの管理体制の実情などを、ユーザー企業が登壇して来場者に訴求した。(取材・文/佐相彰彦)

会場には多くの来場者が訪れて盛況だった
パネルディスカッションも開催多くのシステム管理者に期待

開会の挨拶で登壇したPC・ネットワークの管理・活用を考える会の久保統義・事務局長 PC・ネットワークの管理・活用を考える会は、情報システム管理者の「情報収集・意見交換」の集いの場を提供することを目的とする団体である。
「2015」開会の挨拶には、事務局長を務めるクオリティソフトの久保統義社長が登壇。久保社長は、「PC・ネットワークの管理・活用を考える会は、システム管理者を中心とした集まりで、多くの方々に参加していただければと考えている。そこで、今回はユーザー企業の方に登壇してもらって、現状を語ってもらうことになった」と説明したほか、「この会は今年で19年続けており、来年には20年を迎えることになる。さらに盛大な会にしていきたい」との考えを示した。
ナルトタイのファンを増やす

本家松浦酒造場
松浦素子
社長 基調講演では、銘酒「鳴門鯛」を販売する本家松浦酒造場の十代目蔵元である松浦素子社長が「中小企業におけるIT活用の実態」と題して自社のIT化について説明した。
同社には22人の正社員と6人のアルバイトが在籍し、IT環境については、PCが15台で、グループウェアの「サイボウズ Office 6」、クラウド型の名刺アプリを導入しているという。2009年頃は、ホームページやECサイトが10年間、ほとんど更新されていなかったほか、手作業でECサイトのクレジットカード処理を行っていた。グループウェアは掲示板だけを活用、受発注システムと経理システムが連動していない状況だった。そんな同社は、「もっと鳴門鯛のファンを増やしたい」と考えて、IT環境の整備を決断。ホームページやECサイトの改善、SNSの活用などに取り組んだという。インターネットを通じて自社商品をアピールしたことに加え、名刺アプリで管理している情報を生かしてeメールやDM(ダイレクトメール)を打った。また、「ナルトタイの店」という実店舗のオープンや蔵見学、ホテルや飲食店のスタッフ向け日本酒基本講座など、リアルの取り組みも強化した。「『ヒト・モノ・カネ』が制限されるなかで最大限の効果を発揮することに力を注いだ」と、松浦社長は説明する。これによって、鳴門鯛のファンが増えたほか、海外では「ナルトタイ 純米 水ト米」がロンドン開催の世界最大級ワインコンテスト「第32回IWC2015(インターナショナル・ワイン・チャレンジ)」のSAKE部門純米酒カテゴリで最高金賞(トロフィー)を受賞した。
「QND」で管理体制を改善

国立がん研究センター
佐藤直行
情報システム管理課長 事例講演では、「端末/ライセンスの全体把握と管理体制の構築」をテーマに、国立がん研究センターで全国がん登録データセンター準備室長補佐を務める佐藤直行・総務部情報システム管理課長が登壇した。
以前、国立がん研究センターでは、職員数とライセンス数がアンバランス、センター独自の管理方法で管理が限定的などという課題を抱えていた。そこで、クオリティソフトのIT資産管理ツール「QND」を導入。すべての端末でインベントリ収集が可能になっただけでなく、管理効率も向上したという。佐藤情報システム管理課長は、「研究機関という環境、複数の購入ルート、管理対象の限定、マンパワーとコストなどの問題があってライセンスの全体把握が困難だった」と振り返ったうえで、「QNDがすべてを解決してくれた」と語った。
このほか、会員によるパネルディスカッションやクオリティソフトによるソリューション紹介なども行われ、イベントは大盛況だった。