ダイワボウ情報システム(野上義博社長)と日本マイクロソフト(平野拓也社長)は、タブレット端末の普及を見据えて、2011年に設立した専任組織「Windowsタブレット推進センター」を拡張し、スマートフォンを含むWindows搭載モバイルデバイスの導入を支援する「Windowsモバイルビジネスセンター」として、15年8月28日にダイワボウ情報システム内に設置した。スマートフォンを含めたモバイルデバイスの導入を全面的に支援する体制を整えたことで、SMB(中堅・中小企業)や教育市場のICT利活用の促進を加速する方針だ。(佐相彰彦)
Windowsのシェアが50%に
2011年にWindowsタブレット推進センターを設立したことで、ダイワボウ情報システムは、モバイルデバイスのビジネスが好調に推移している。昨年度(15年3月期)は、モバイルデバイスの販売が53万台超を記録した。Windows搭載タブレット端末が大きく寄与しているという。ダイワボウ情報システムの安永達哉・専務営業本部長は、「タブレット端末の販売台数シェアのなかで、約50%がWindows」としている。加えて、法人向け携帯電話の市場環境は、フィーチャーフォンからスマートフォンへの移行が急速に進んでいる。そこで、センターをタブレット端末の利用促進を中心とした機能から、スマートフォンまでを網羅した機能に拡張することになった。
センター自体の体制も強化している。人員を5人から12人と2倍以上に増やし、専用相談窓口の設置やレンタルパッケージの提供、日本全国でのハンズオンセミナーの実施、ワークショップやトレーニングの提供、案件内容やニーズに応じたコンサルティングも行う。今年度中には、マイクロソフト製品を使った新しいソリューションも創出する。ダイワボウ情報システムの全国に点在する90か所の販売拠点と、日本マイクロソフトの拠点では、段階的にモバイルデバイス体験プログラムの実施も計画している。
これらの取り組みと、モバイルデバイスの販売に力を注ぐ約1500社の販社を通じて、拡販に注力していく。安永専務は、「法人市場においては、今後3年間で累計200万台のWindows搭載モバイルデバイスの販売を目指す」としている。
Windows 10の普及に力を注ぐ
拡販を図っているモバイルデバイスは、現段階でWindows 8.1が主流となるが、日本マイクロソフトの平野社長は、「Windows 10の登場以来、日本市場ではWindows搭載スマートフォンへの関心が高い。ハードウェアメーカーも注目しており、話が具体的に進んでいる。年末にかけてWindows 10を搭載したスマートフォンが登場するだろう」と捉えている。さらに、「法人ではデバイス管理運用などが課題になっている。ユニバーサルプラットフォームのWindows 10によって、パソコンやタブレット端末に加えて、スマートフォンも連動するようになる」という。
また、「Windows 10を使った新たなソリューションを創造することが重要」(日本マイクロソフトの平野社長)とも捉えている。具体的には、クラウドサービスの「Office 365」や「Microsoft Azure」などの年額/月額メニューの提供、モバイルデバイスの管理簡素化が可能な「Microsoft Intune」の提案、新しいクラウド専用ポータルの提供(16年1月を予定)などを計画している。

握手する日本マイクロソフトの平野拓也社長(左)とダイワボウ情報システムの安永達哉専務他のディストリビュータにも期待
Windowsモバイルビジネスセンターの設置によって、ダイワボウ情報システムは今後、タブレット端末だけでなく、さらにスマートフォンを拡販できるようになるわけだが、加えて周辺機器の販売やクラウドサービスの提供、キッティングサービス、MVNO(仮想移動体通信サービス事業者)として提供しているモバイルデータ通信サービスなどのビジネスも拡大できるようになる。ダイワボウ情報システムの販社にとっても、デバイスの充実によって、新たな製品・サービスを提供して新規顧客が開拓できる可能性がふくらむ。
日本マイクロソフトにとっては、他OSに先行されていた法人向けスマートフォン市場で、シェアを増やす可能性を秘めている。日本マイクロソフトの平野社長は、「まずは、ダイワボウ情報システムさんとのパートナーシップをしっかりと深めていく」としている。今回の協業で大きな成果が出た段階で、「スマートフォンにおいて、他のディストリビュータさんとの協業強化にも期待したい」との考えを示している。スマートフォンの法人利用が進みつつあるなか、スマートフォンのOS争いも激しさを増していきそうだ。