コンテンツマーケティングの導入支援と運用で実績を伸ばしてきたイノーバ(宗像淳・社長CEO)は、SMB向けのマーケティングオートメーションツールを開発・リリースし、本格的な拡販に取り組んでいる。近年、グローバルベンダーが相次いで、マーケティングオートメーションを核とするデジタルマーケティングソリューションを日本市場に投入しているが、ユーザーは大企業が中心。新たな有望市場を開拓できるか。(本多和幸)
イノーバが得意としてきたコンテンツマーケティングとは、ブログやSNS、動画、ホワイトペーパー、セミナーなど、文字通り「コンテンツ」を使ってウェブサイトに見込み客を引きつけ、商品やサービスを訴求していくマーケティング手法だ。同社は2011年の設立以来、コンテンツマーケティングの導入コンサルティング、さらには各業種・業界に精通したライターのネットワーク(現在は1500人以上)を構築し、顧客のコンテンツ制作そのものを支援する事業も展開してきた。
そうしたノウハウを生かし、昨年9月には、コンテンツマーケティングに特化した自社開発のクラウド型マーケティングツール「Cloud CMO」をリリースした。マーケティングやITのスキルに乏しいSMB向けに、短期間でのオウンドメディア構築やアクセス解析、ブログ制作、SEO対策、SNS投稿、メールマガジン配信、リード管理など、コンテンツマーケティングのための機能をオールインワンで提供するというコンセプトだ。さらに、今年9月には、ウェブサイトへの集客から見込み客の獲得、育成までのプロセスを網羅するマーケティングオートメーションとしての機能を強化し(図を参照)、Cloud CMOをSMBに本格的に浸透させるべく、販売チャネルの整備にも取り組み始めた。

宗像淳
社長CEO 宗像社長CEOは、Cloud CMOのメリットを次のように説明する。「グローバルベンダーなどが提供している既存のマーケティングオートメーションは、機能も複雑で高額なため、デジタルマーケティングのためのリソースが限られているSMBでは、導入が困難だった。また、マーケティングオートメーションツールを導入しても、リードとのコミュニケーションにはコンテンツが不可欠であり、それをどうやって用意すればいいのかわからないというユーザーも多い。Cloud CMOは、少人数でも使いこなせる唯一のマーケティングオートメーションツールに仕上がったと自負している。コンテンツマーケティングの導入コンサル、コンテンツ制作支援のサービスも合わせて、SMBにデジタルマーケティングを本格的に浸透させるための体制が整った」。つまりは、マーケティングオートメーションとコンテンツマネジメントを包括した比較的安価でシンプルなクラウドアプリケーションとイノーバのコンテンツマーケティング関連サービスを組み合わせることで、新しい市場を「ブルーオーシャン」として開拓していこうとしているのだ。
現在、中堅規模のSIerなどを中心に、販売パートナー網を拡大しようとしている。「SMBの顧客基盤があり、自社でもCloud CMOを使って導入・運用ノウハウを蓄積しようという意欲のあるパートナーを増やしていきたい。幸いデジタルマーケティング領域に対するSIerの関心は高まっていて、いい協業の話が増えている」と、宗像社長CEOは手応えを話している。