バックアップソフトなど情報管理関連の製品・サービスを提供するベリタステクノロジーズ(ベリタス、西村隆行社長)は、販社をはじめとしたパートナー企業向けの支援プログラムを相次いで提供しようとしている。クラウドサービス事業者とパートナーシップを深めるためのプログラムも策定する。ワールドワイドでは2016年1月にシマンテックからの分社化が完了、すでに日本では今年10月に日本法人が営業を開始した。このような状況下、市場での主導権を握るためにパートナー企業との協業強化が最も重要と判断した。(佐相彰彦)

米ベリタステクノロジーズ
マーク・ナット
グローバルチャネル責任者 このほど開催したパートナー企業を参加対象としたカンファレンス「Veritas Asia Pacific Partner Link 2015」で、米ベリタステクノロジーズ(米ベリタス)のマーク・ナット・グローバルチャネル責任者は「パートナー企業を通じてビジネスを手がけることが、成功するための最も重要なカギ」と強調。シマンテックからの分社化を控え、販社を中心に「従来と同程度、また従来以上のビジネスが成立するのか」という疑問が浮かびあがっているなか、「独立は、パートナー企業に適切な投資を行うためのもの」(ナット・グローバルチャネル責任者)と断言しており、パートナー企業それぞれの売り方が「当社の製品・サービスの価値を高めることにつながる」とアピールしている。
05年にシマンテックの傘下に収まったものの、「これまでも、パートナー企業を経由したビジネスに重きを置いていた」(ナット・グローバルチャネル責任者)という。ただ、シマンテックがもつ情報セキュリティ関連の製品・サービスも販売することになり、ベリタスとシマンテック両方の製品・サービスを拡販するパートナー企業が出てきたため、ベリタスの製品・サービスを中心にビジネスを手がけていた販社が、優良パートナーになることは難しかったといえそうだ。「分社化によって、製品・サービスの選択と集中を果たした。当社の製品・サービスの提供を重視してくれたパートナー企業が再びクローズアップされることになる」(同)としている。

ベリタステクノロジーズ
西村隆行
社長 カンファレンスでは、グローバルパートナープログラムとして「ベリタスパートナーフォース」を発表。このパートナープログラムは、これまでパートナー企業から挙がってきた声にもとづいて支援を強化しており、とくにVeritas製品の販売に重点を置いたパートナー企業に、高い報奨金を支払うというのが一番の改善点だ。具体的には、案件登録額の上限が50万USドル(日本円で6000万円相当)から100万USドル(同1億2000万円相当)に変更。パートナー企業によるVeritas製品を使った大規模案件を獲得することを狙いとしている。日本市場でも適用していて、「日本市場は、大企業をユーザー対象としているケースが多い」(ベリタスの西村社長)ことから、日本のパートナー企業が利益率を高められる可能性も秘めている。
さらに、カンファレンスではSIerやディストリビュータだけでなく、クラウドサービス事業者とのパートナーシップを組むためのプログラムも発表した。具体的な内容については、来年1月に発表し、本格的な稼働が4月を予定しているが、「オンプレミス型システムの構築に強い(既存の)パートナー企業とのあつれきが生じるようなことは避ける」(ナット・グローバルチャネル責任者)としている。シマンテックからの独立で“新生ベリタス”として生まれ変わり、市場でどのような存在感を出していくのか。支援制度を含めてパートナー企業への手厚いサポートがビジネスの行方を決めそうだ。