米シトリックス・システムズ(米シトリックス、ボブ・カルデロニ暫定CEO)は、従業員300~2000人規模の中堅企業向け市場(ミッドマーケット)でビジネス拡大を図る。販売パートナーが売りやすい環境をつくるため、ホワイトペーパーを中心とした「Partner Mid-market success kits(Mid-market success kits)」の提供開始を明らかにした。日本でも2016年第1四半期中に提供される予定だ。また、既存のパートナープログラム「CSP(シトリックスサービスプロバイダ」の強化も進めており、CSPの参加企業がクラウドサービスを提供しやすい環境も整えていく。(佐相彰彦)

キンバリー・マーティン
バイスプレジデント Mid-Market success kitsは、米シトリックスが汎用的な製品・サービスや業種に特化した製品・サービスを明確にして、パートナー企業が、中堅企業向け市場に適したビジネスを手がけることができるようにしたもの。各業種のニーズに対応した米シトリックスの製品・サービスを使ったソリューションを提案するホワイトペーパーのひな形を用意し、そのホワイトペーパーにパートナー企業が得意とする製品・サービスを入れ込んで、ユーザー企業に独自のソリューションを提案できるようになる。現在、7種類のMid-market succes kitsを用意しており、英語など5か国語に対応している。日本語への対応は、今年3月中を予定している。
昨年夏、米シトリックスのワールドワイドパートナーセールスおよび戦略部門の責任者に就任したキンバリー・マーティン・バイスプレジデントは、「パートナーは新しいソリューションを提供できる」と断言する。というのも、パートナー企業のうち、シトリックス製品・サービス単体で販売・提供している企業が全体の78%という。これは、シトリックスの製品・サービスをどのように組み合わせれば、ユーザー企業に最適なソリューションが提供できるのかを、わからない状況にあるからだ。このような課題を解決するのが、今回のMid-market success kitsというわけだ。
また、ワールドワイドでシトリックスは、大企業を顧客として獲得しているケースが多い。この状況でも堅調に成長してはいるものの、新しい市場を掘り起こさなければ、今後の成長は難しい。実際、ワールドワイドでのシトリックスの製品・サービスの導入率は、大企業で61%に対して、中堅企業で19%という。マーティン・バイスプレジデントは、「まだまだ大きくビジネスを拡大する可能性を秘めている」としている。
中堅企業向け市場の掘り起こしにあたって、パートナー企業向けの新しい支援策を提供するだけでなく、既存のパートナープログラムについても強化する方向だ。現在、パートナー経由のビジネスは、ワールドワイドで90%に達している。成長が著しいのがCSPだ。ただ、これまでは大企業を中心に獲得しているため、既存のパートナープログラムでは賄いきれないケースも出てくる。そこで、「CSPはオンプレミスでの提供が多い。一方、ミッドマーケットではクラウドを利用する傾向が高まっている。CSPが(広範なワークスペースサービスを設計することが可能なサービス)『Citrix Workspace Cloud』を拡販できるようなプログラムの策定を視野に入れている」としている。
パートナー企業への支援を強化し、「当社に対しても、パートナーが人材リソースやソリューションの創造、トレニーングなどで投資してほしい」との考えをキンバリー・バイスプレジデントは示しており、シトリックスとパートナーシップを深めたいとするディストリビュータやSIerに対しては、パートナープログラムだけでは補えない投資を拡大していく。