「Track C」の第4セッションでは、前川徹・サイバー大学IT総合学部教授 国際大学グローバル・コミュニケーション・センター所長が「オープンイノベーションとベンチャー企業」と題して講演。「ITの世界において、画期的な製品・サービスのほとんどがベンチャー企業から生まれている」と主張し、起業家を支援する仕組みの必要性を説明した。

サイバー大学
IT総合学部教授
国際大学
グローバル・コミュニケーション・
センター所長
前川 徹氏 前川氏は、イノベーションの創出を考えるうえで、大企業とベンチャー企業の関係性(コーポレート・ベンチャリング)に着目。日本においては起業人材の不足やVC投資額の低さが大きな課題となっているが、「そもそも米国では優秀な人たちほど起業する傾向にあるのに対し、日本ではそうした人たちは大企業に就職することが多い。また、起業家をIPOやM&Aで支援しようとする米国に対し、日本では企業内で新たなアイデアが出ると、親会社が最終的な決定権を握ったまま、分社化・子会社化するというのが基本的な考え方になっている」と話す。この差により日本のベンチャー支援が遅れている可能性を指摘する。
米国では、ベンチャーが育っていく過程で大企業が援助し、育ったベンチャーが今度は支える側に回るという「イノベーションのエコシステム」があるという。また、米国では今、起業成功者たちが集まって人材発掘や経営ノウハウの伝承、マーケティング活動の支援などを行う「スタートアップ・アクセラレータ」と呼ばれるスタートアップ支援組織が注目を集めているそうだ。前川氏は、日本でもこうしたベンチャー企業を支援する仕組みが必要だと訴え、前川氏もメンターとして名を連ねるコンピュータソフトウェア協会(CSAJ)のスタートアップ支援事業を紹介した。