「Track A」の第4セッションでは、東レ経営研究所の増田貴司・産業経済調査部門長チーフエコノミストが「IoT時代の産業の新潮流と日本の製造業の生き残り策」をテーマに講演した。「つながる経済」関連のキーワードに注目して「IoT時代到来」がどのような効果・影響をもたらすかについて説いた。

増田貴司
産業経済調査部門長
チーフエコノミスト IoTがこれほど騒がれているのは、産業にパラダイムシフトが起こるためという。製造業にとってIoT時代の到来は、競争力の源泉がハードからソフトへと移行し、製造業のサービス化を加速させる。だが、脱工業化ではなく本質は発想の転換。「顧客は、モノを消費して利用することで価値が生まれる。技術力だけで生き残れない。これからは製造業を含むすべてのビジネスを、顧客への『サービス』として捉え直すべきだ」と指摘した。
次いで、日本の課題を説明した。多くの企業がIoTビジネスを推進するが、大半は単にインターネットにつながっているだけで、人にフィードバックされる価値でビジネス化できているものはほとんどないという。また、IoT技術そのものは日本が先行しているが、自社に閉じて横串が通っていないの対し、インダストリー4.0ように、米独は広くオープンなシステムを推進しているとした。
日本企業が生き残るには、「IoTをどう既存事業で活用するかではなく、どんな新事業ができるかを考えること」と強調している。そして、仕組みづくりを重視すること、コラボレーションの推進、(小さな失敗を恐れずリスクをとる風土を醸成するため)企業文化の刷新に取り組むよう訴えた。