日立ソリューションズは、PaaSソフトウェアの「Cloud Foundry」を開発基盤として活用することに注力している。およそ半年をかけて社内でCloud Foundryの認知度の向上や活用を推進しており、この4月以降も適用範囲を順次広げていく方針。アプリケーションの実行環境をCloud Foundryで統一することで、ソフト部品の再利用や開発プロセスの標準化を促進して開発生産性を高めるのが狙いだ。(安藤章司)

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左から佐々木伸也技師、田中一義グループマネージャ、
牧 俊男技師

 Cloud Foundryの活用によるメリットは、主にアプリケーションの実行環境を、その都度、用意しなくてもすむことと、ソフトウェアの部品化による再利用が容易にできること、そして開発プロセスの標準化による作業効率の向上が挙げられる。この半年をかけて、日立ソリューションズでは実際に社内での開発業務の一部にCloud Foundryを適用したところ、「標準化の効果が確認できた」(田中一義・DevOps推進グループマネージャ)と手応えを感じている。

 ITインフラのIaaSは、主にハードウェアやIT基盤の変革を促したが、各種ミドルウェアや実行環境を実装したPaaSは、アプリケーションやサービスの開発に大きな変化を与えるものだとみている。佐々木伸也・DevOps推進グループ技師は、「アプリケーション開発者にとってPaaS活用は、IaaS以上のインパクトがあると実感した」と話す。

 例えば、これまで部門内でしか存在を知られていなかったソフトウェアモジュールをCloud Foundry上でカタログ化(アプリケーションが共通で使えるようにすること)することで、「全社的な再利用が非常に簡単に行えるようになった」(佐々木技師)など、その効果は大きいという。また、これまでバラツキがあった開発プロセスをCloud Foundry上で標準化、単純化できるのも生産性向上に役立っている。

 もう一つ見過ごせないのは、昨今のアプリケーション開発で重要視されることが多い「継続的構築/継続的デリバリ(CI/CD)やDevOps(開発と運用の一体化)などと、Cloud Foundryのアーキテクチャが非常に親和性が高い」(牧俊男・DevOps推進グループ技師)ことだ。いわゆるアジャイル的な開発手法を適用することが多いSoE(価値創出型システム)領域では、さらにCloud FoundryのようなPaaSソフトが生きてくるとみている。

 一方、課題も浮き彫りになっている。Cloud FoundryがLinuxをはじめとするオープンソースソフト(OSS)技術の集大成であることから、「これまであまりOSSに接点のなかった技術者は、OSSの基本スキルの修得が必要」(牧技師)など、一定のスキルアップが求められる。

 今は、特定顧客向けの個別SIで、すでに別の開発環境を採用しているケースは除いて、日立ソリューションズが独自に開発しているソフトウェアを中心にCloud Foundryを適用している。今後、個別SIに適用するケースが増えれば、アプリケーション開発のコスト削減効果が見込まれる。

 日立ソリューションズはPaaS活用の流れが確実だと判断し、SoE領域を中心に短い開発サイクルを数多くこなしていくことで完成度を高めていく。CI/CDといった新しい開発手法を積極的に取り込んでいくことで競争力を高め、売上増につなげていく考えだ。