メルコホールディングスのグループ会社、バッファロー(斉木邦明社長)は、監視カメラや無線LANアクセスポイントなどのネットワーク製品で、特定分野の法人市場を本格的に開拓する。シスコシステムズなどの外資系メーカーがシェアを獲得する市場に対し、法人チャネル経由で自社開発製品の販売を増やす。同社の売り上げは、家電量販店などで販売する個人向けが7割以上を占めている。今後は、ネットワーク製品を販売するネットワークインテグレータ(NIer)などとの連携を強化し、法人向けの売り上げを早期に5割にするための体制整備を急ぐ。(取材・文/谷畑良胤)

簡単設置・稼働の監視カメラ

 バッファローは昨年8月、法人市場向けの主力製品として、小規模店舗やオフィス向けの監視カメラシステム「Surcam(サーカム)CR1000シリーズ」という自社開発製品を発売した。事業部門営業部門担当営業本部長の渡邊泰治・常務取締役によれば、「どの市場をターゲットにするかといったテストマーケティングの期間を含め、1年弱をかけて自社開発した」と、法人市場を攻めるために開発体制を強化したうえで、同社の開発力を結集して完成させた製品という。
 
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磯畑明彦
ネットワーク事業部
ネットワーク事業課長

 同シリーズは、カメラ4台をセットにした「CR1000-02-B14」(23万5000円・税別)と同2台セットの「CR1000-02-B12」(19万5000円・同)をラインアップ。いずれもレコーダー1台などの一式がセットになった製品だ。最大の特徴は「専門知識を必要とする機器選定は不要で、購入後はテレビやパソコン用ディスプレイにレコーダーを映像ケーブルで接続するだけで、すぐに使える簡単さだ」と、ネットワーク事業部の磯畑明彦・ネットワーク事業課長は簡単に設置できることを売りにしているという。

 実際、設置は簡単だ。複数のカメラをLANケーブルでレコーダー本体にそれぞれ接続し、テレビかディスプレイと本体をHDMI(あるいはD-sub)でつなぎ、最後に電源コードをコンセントにさせば設置が完了する。レコーダーは2TBのHDDを内蔵。4台のカメラ映像を最大40日分を保存でき、容量が満杯になれば、自動的に古い映像から削除する。映像再生は、撮影日時やカメラごとに選択でき、万一の映像確認の際には、撮影した映像のすべてを確認する手間が必要ない。
 
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渡邊泰治
常務取締役事業部門
営業部門担当営業本部長

 渡邊常務取締役は、「他社の監視カメラは設置が煩雑で、解像度の調整や機器の選定などの手間がかかる。サーカムは、必要な機器がセットになっているほか、ネットワークの知識があれば、誰でも設置できる。簡単に販売・設置ができることを前提に開発した製品だ」と、監視カメラを売りたいが、専門的な知識がなくて売れなかったNIerでも販売できる製品として、広範に販売網を築きたい考えだ。

 サーカムの販売先としては、中古車販売や小売店舗など夜間無人になる店舗をもつ企業があげられる。また、マンション向けとして不動産業者などへ売り込んでいる。

 磯畑課長は、「カメラは400万画素の高画質。カメラからの距離が10メートル程度ならば、顔の特徴まではっきり判別できる。『IP66』の防水規格なため、屋外設置もできる」と話す。マンション向けに関しては、監視カメラを設置するために自治体の制度で助成金が出る場合もあり、販売拡大に期待する。

学校向けには無線LANを

 監視カメラ向けに加え、同社がねらっている市場が学校向けだ。今年3月には、無線LANアクセスポイント「WAPM-2133TR」を発売した。同製品は、トライバンドとDFS障害を回避できる同社初の無線関連機器。文部科学省が2016年に策定した「教育の情報化加速プラン」にもとづく「児童生徒一人1台の教育用コンピュータ環境」の構築に最適な製品として自社開発した。

 渡邊常務取締役は、「学校の授業では、各教室でタブレット端末などを一人1台で使う環境が整備される。そうなると、テキストや学習に使う動画などを児童・生徒が同時アクセスするケースが増える。当製品は、企業の一般オフィスでも使えるが、まずは学校向けに販売を伸ばしたい」と、まずは学校という特定業種に絞り、販売チャネルを強化していく。

 同製品は、高速WiFi(無線LAN)規格「IEEE802.11ac」に対応した二つの5GHz帯と、一つの2.4GHz帯の計三つのバンドの同時通信に対応したトライバンドの無線LANアクセスポイントだ。同社によれば、「機器の接続を分散するように自動的に振り分ける『バンドステアリング機能』を搭載しているため、当社測定で従来製品に比べ約2倍の転送速度を実現している」(磯畑課長)と話す。しかも、DFS障害を回避する機能や、気象・航空レーダー監視専用アンテナを備えているため、アクセスに障害をおよぼすレーダーを検知し、チャネルを自動切り替えする。そのため、授業中に通信が遮断されることがなく安定して学習を続けられるという。

 国が進める学校のコンピュータ環境整備では、無線LANの設置に向け、複数メーカーが市場獲得に向けてしのぎを削っている。渡邊常務取締役は、「従来の販売チャネルだけでなく、文教市場に強みのある各地域のNIerなどとの連携を強化し、当社が創業以来培ってきたネットワークの技術を搭載した無線LANを広めたい」と、チャネル開拓を強化中だ。

 同社のネットワーク機器販売は、パソコン周辺機器として主に個人市場向けに伸ばしてきた。しかし、最近はパソコンやテレビなど市場の規模縮小の影響で個人向けの拡大が難しい状況にある。そこで、文教などの特定業種に強いパートナーとセミナーを開催するなど、連携を強化するとともに、ここ数年で自社製品の開発体制を拡充し、法人市場で得意分野の開拓をしてきた。

 現在、ネットワーク機器の売り上げは、個人が75%、法人が25%という割合だが、早期に法人向けを5割にし、安定した事業基盤を築こうとしている。競合するメーカーは、外資系が中心だが、「国内の利用環境に応じ、外資系には行き届かない機能を搭載するなど、当社の技術力で使いやすい製品を出し続ける」(渡邊常務取締役)と、自信をみせている。