「省力化」より「売り上げを伸ばす」提案が高評価

 アイティフォー(東川清社長)のRPA(ロボティックプロセスオートメーション)事業が急成長している。採用に向けた検証段階にあるユーザーが30社あまり、確度の高い商談が60社を超えているなど、100社近いユーザーからの引き合いに手応えを感じている。ここ半年ほどで引き合いが急増した背景には、アイティフォーがRPAの売り方を「省力化、自動化」から、「業務改革」に軸足を移したことが挙げられる。(安藤章司)

 RPAは既存の業務アプリケーションに手を加えることなく、ソフトウェア・ロボットによって業務を自動化する。スクリプトとAI(人工知能)を組み合わせたイメージで、種類の異なる複数の業務アプリを横断的に自動化することが可能だ。
 

池上卯太郎部長

 アイティフォーはイスラエルのナイス社のRPA製品を活用しているが、ここ数年間は売り方の模索が続いていた。同社はナイスの主力製品の一つであるコンタクトセンター向け基幹システムなどを、業界に先駆けて国内販売していたことから、RPA製品についても早くから着目。しかし、「ただ自動化するだけでは、購買に結びつきにくい」(池上卯太郎・CTIシステム事業部営業一部部長)と、顧客の関心は得られても、実際の販売にはなかなかつながらなかった。

 そこで、販売の軸足を「省力化、自動化」から、「業務改革」に切り替え、顧客の売り上げや利益に直接貢献する提案を強化する方向へと舵を切った。

 例えば、保険会社の客から住所変更の電話がかかってきたとき、RPAが即座に新しい住所の立地条件を検索し、もし海沿いならば「塩害保険への勧誘」をオペレータに提示。客との会話で、もし「出産」のキーワードが出たら、リアルタイムに「学資保険への勧誘」を画面に表示する。金融サービスで「客からカード融資の枠を増やしてほしい」という問い合わせがあると、これもその場で融資枠の規定を調べて、難しいようならば無担保ローンなどの「別の金融サービスをオペレータに通知する」といった具合だ。

 つまり、業務の省力化、自動化に加えて、売り上げや利益を増やすような機能を実装し、なおかつこれらをリアルタイムで実行する業務改革に焦点をあてて提案したところ、「一気に商談が進むようになった」。例示では保険・金融系だが、実際は製造やエネルギー、製薬など「業種業態を問わず引き合いがきている」と、業務改革に関心がある企業が引き合いの中心を占めるという。RPAを使わずにこうした業務改革を行おうとすると、既存のシステムに手を加えなければならず、業務フローが変わったら、その都度、システムを手直しする必要が発生する。時間とコストばかりがかさんでしまい、改革そのものに二の足を踏む顧客が多かった。

 アイティフォーでは、2016年から“業務改革RPA”の専任チームを組織。既存システムに手を加えることなく大胆な業務改革が実行できると提案するとともに、コンサルティングや実証実験にも意欲的に取り組んできたことで、わずか半年後にはRPAビジネスの本格的な立ち上げにつなげることができた。

 RPAで事務処理を自動化する切り口では、どうしても「人員削減」のイメージが強かったり、古くからあるマクロやスクリプトと区別がつきにくかったりといった課題があった。そうではなく、人間と歩調を合わせながらリアルタイムでデータを収集し、生産性を高める補佐役として実装することで、RPAビジネスをさらに軌道に乗せようとしている。