ドイツでクラウド事業を成長させた手腕に着目

 日本オラクルは6月5日、杉原博茂・前代表執行役社長CEOが会長に就任し、オラクル・ドイツのバイスプレジデントだったフランク・オーバーマイヤー氏が執行役CEOに就任した。このトップ交代劇が意味するところ、そして今後の同社の針路への影響はいかに――。(本多和幸)

 オーバーマイヤーCEOは、出身国のドイツを中心に、ヨーロッパのエンタープライズIT市場で活躍してきた経歴の持ち主だ。ヒューレット・パッカード ドイツ、オラクル ドイツ、アバイア ドイツ、デル ドイツなどでキャリアを重ねた後、2015年にオラクル ドイツに復帰し、テクノロジー・セールス・ビジネス・ユニット担当のバイスプレジデントに就任した。
 
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杉原博茂
会長

 日本オラクルは7月19日、オーバーマイヤーCEO、杉原会長の両者が同席して記者会見を開き、トップ交代の理由などを説明した。杉原会長は、14年の社長就任時に「20年までにクラウドナンバーワンカンパニーになる」という目標を掲げたが、まだ道半ばだという感覚はぬぐえないように思える。しかし、杉原会長は、「クラウドに本格的にシフトするという日本オラクルの改革が社内外に浸透し、一つの区切りがついた。これをさらに加速させるために、インダストリー4.0を進めるドイツでクラウドビジネスを成功させたフランク(・オーバーマイヤーCEO)に経営を引き継ぐ」と説明した。これに対して、オーバーマイヤーCEOも「日本には過去何度か訪問しているが、美しく、大好きな国。ここで個人的にもいろいろな体験をしたいし、ビジネスでも、クラウドの成長に貢献したい」と応じ、ワンポイントリリーフではなく、腰を据えて日本オラクルの経営に携わる意向であることをうかがわせた。

 基本的には、杉原会長が掲げた目標をオーバーマイヤーCEOも踏襲することになる。目標達成に向けては、IaaS、PaaS、SaaSのすべてのレイヤを網羅した「完全なクラウド」を提供できることを強みとして、「顧客ごとのニーズをよく理解し、ワークロードを段階的にクラウドに移行していく支援をして、指数関数的にビジネスを大きくする」ことが重要になるとの見方を示した。
 
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フランク・
オーバーマイヤー
執行役CEO

 ただし、「クラウドナンバーワンカンパニーになる」という目標は、達成基準が曖昧だ。どんな指標を達成したら「日本市場におけるクラウドナンバーワンカンパニーになった」と判断するのだろうか。オーバーマイヤーCEOは、明確にはしなかったものの、「強固な顧客基盤をもつデータベースのワークロードをいかに早くクラウドにもっていけるか、また、IaaSのKPIも重視していく」と話し、具体的なKPIを設定している可能性を示唆した。

 また、杉原会長はこのオーバーマイヤーCEOの発言を補足し、「(クラウドナンバーワンの達成基準を考えるにあたっては)クラウドにはさまざまなレイヤや形態があることを踏まえて、その定義をあらためて考えるべき時期にきている。アマゾンがクラウドのすべてではない。顧客の生産性を高めるためにどうするかという視点での議論が必要だ」と指摘した。

 いずれにしても、日本オラクルがIaaS、PaaS、SaaSの全方位で国内シェア1位を獲得するのは容易ではない。オーバーマイヤーCEOのドイツ市場での経験が、日本オラクルのクラウドビジネスの成長にどう貢献するのか。具体的な方策はこれからだろうが、2020年はそれほど遠い未来ではない。