ソフトバンクと三菱地所は12月22日、東京・千代田区で自動運転バスの試乗会を開き、仏Navya社製の自動運転シャトルバス「NAVYA ARMA」(ナビヤ アルマ)を走行させた。自動運転車両が東京23区の公道を走るのは初めてという。自動運転の領域は、各企業が研究や開発を進めており、実用化に向けた競争はますます激化しそうだ。(廣瀬秀平)

 車内にハンドルはなく、前後の区別がつかない。座席は前後に向き合う形で設置されており、天井には立って乗る際につかむつり革がある。試乗会で使われたNAVYA ARMAの車内の様子だ。

 NAVYA ARMAは、全長4.75メートル、幅2.11メートル、高さ2.65メートル。60台が生産され、世界25か国で10万人以上が試乗している。現在、国内で導入しているのは、ソフトバンクのグループ企業「SBドライブ」の2台だけという。

 通常は、数センチ単位で位置を測位できるRTK-GPSと、地形や障害物を検知する「LiDAR」(ライダー)センサを組み合わせて走行する。ただ、GPSは高層ビルの間などでは測位が難しいため、試乗会では、あらかじめ走行ルートを設定し、当日はLiDARセンサだけを用いて走った。
 
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東京の「丸の内エリア」を走る自動運転シャトルバス「NAVYA ARMA」

 実際に乗車すると、両開きのドアが閉まり、ゆっくりと動き出した。道路をまっすぐ走り、決められた約40メートルの直線ルートを往復して元の位置に戻った。時速は約5キロで、徒歩とほぼ同じスピード。オペレータが同乗していたものの、遠隔地から挙動を制御していたため、自動運転のレベルは実質的に「レベル4」だ。

 ソフトバンクグループは、自動運転を実用化し、運転手不足や路線維持などの交通事業者の課題解決や、交通弱者の移動支援を実現したい考え。これまでに、東京・港区のプリンス芝公園と北海道上士幌町でもNAVYA ARMAを使った試乗会や実証実験を実施し、安全性などをアピールしてきた。

 今回、試乗会の会場となったのは、東京の「丸の内エリア」。多くの大企業が本社を構える世界有数の企業集積地であるほか、最近ではベンチャー企業の進出先としても注目されている。オープニングセレモニーでは、新たな企業連携に向けた期待感がうかがえた。

 三菱地所の湯浅哲生・執行役常務は、「先端分野における新進気鋭の若い企業が続々と集まり、有力企業とのコラボレーションが加速度的に広まっている」と紹介し、「近未来のサービスが世界に向けていち早く実現できるように、丸の内がもっているポテンシャルを総動員し、一大実験場として強力に後押ししたい」と強調。ソフトバンクの今井康之・副社長兼COOは、「自動運転は、人工知能(AI)やIoT、ロボットのすべてにまたがる技術。これを生かしながら、将来の日本をつくりあげていくことを皆さんと一緒にやり遂げたい」と呼びかけた。

 自動運転車両をめぐっては、実用化に向けて世界中の企業がしのぎを削っており、ソフトバンクグループの鼻息も荒い。SBドライブの佐治友基・社長兼CEOは、「すでにテーマパークや病院、工場の敷地内での実用化に向けた具体的な打ち合わせが始まっている」と説明し、「2018年以降、制度的なハードルがないところから順次、実用化していきたい」と述べた。