スーパーコンピュータ(スパコン)関連のサービスを提供するITベンチャーのエクストリーム-D(旧エクストリームデザイン、柴田直樹社長)は、クラウド上のスパコンに容易にアクセスし、大容量データの分析などを可能にする小型ハードウェア(開発コード名=XTREME-DNA ENERGY)を4月に発表する。同社によれば、国内初のソリューションだ。同アプライアンスは、IT販売会社などから提供することを視野に入れている。(谷畑良胤)

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柴田直樹
代表取締役CEO

 エクストリーム-Dは、日本IBM出身者らが2015年に設立した技術者集団のベンチャー。現在提供する主力のスパコン・サービス「XTREME-DNA」は、排気量別の車種を指定するレンタカーと同じように、30分からスパコンを使え、終わったら即抹消できる。ハードの部分は、マイクロソフトの「Microsoft Azure」など、パブリッククラウドを活用して時間単位でスパコンをデプロイ(システム上で利用可能にする)できる。スパコンの利用でネックだった人件費が高価なアーキテクトのノウハウと、高難易度の運用監視は、運用ノウハウをテンプレート化したほか、機械学習を活用して自動化し「無人化できる」(柴田社長)のが特徴だ。

 同社がハードアプライアンスを開発するのは、これが初めて。同アプライアンスは、同社で「『HPC(高性能計算=High Performance Computing)ゲートウェイ』」と呼ぶ。ユーザー環境とスパコンクラウドをセキュアにつなぐ、まさに「鍵」のような製品といえる。従来のXTREME-DNAの基本機能と操作性は維持しつつ、クラウド上のスパコンにセキュアにアクセスが可能になる。柴田社長は、「当社で設計する独自のスパコンクラウドへ安全に接続する製品で、オンプレミスのシステムの感覚で使えることを目指している」と、同ハードの正体を明かす。

 具体的な機能としては、サービスのID管理やクラウド上へのセキュア・データ転送、パブリッククラウドやプライベートクラウドの任意のクラウドで仮想スパコンを構築できる。

 今回このハードを出す理由について、柴田社長は、「国内外で、プライベートクラウドで高速演算するニーズが高まっている。従来の『XTREME-DNA』は、パブリッククラウドだけの対応で短期間からの利用が多かった。だが、当ソリューションでは当社で独自開発したクラウド・リソース・プールを設置し、シークレットリージョンを利用する感覚でパブリッククラウドでは行き届かない、ユーザー側でこだわりの計算機リソースを構築でき、長期間利用の要望にも応えられる」と、開発の経緯を説明する。

 現在、同アプライアンスは、医用画像分析やFinTech、創薬シミュレーションなどの分野で、早期導入評価が始まる予定という。これら分野に加え、従来スパコンが広く利用されている製造業の設計製造シミュレーション「CAE(Computer Aided Engineering)」の利用など、高速処理する領域に対し、販売していく計画だ。

 販売については、大手販社との連携を予定している。将来的には、サーバー製品など、ハード販売が得意なITベンダーを代理店にし、各社の商材であるハードやソリューションなどと一緒に提供する形を検討中だ。柴田社長は、「大量データを解析するような企業はパブリッククラウドを使うことに二の足を踏む。一方、スパコンやそれに匹敵する、こだわりの計算サーバーを自前でもとうとすると、構築費用が膨大で運用負荷も大きい」と、早期評価のユーザーも増えており、十分な手ごたえを感じている。