アーム(内海弦社長)は8月22日、IoT機器とそこから得たデータの両方を管理できる「Pelion IoT Platform」の国内提供を開始した。データ管理機能については、同月に買収を発表した米トレジャーデータの技術を活用して実現する。

 アームはこれまで、IoT機器用のOSや機器管理機能などを提供するプラットフォーム「Mbed」を推進しており、今年6月には英ストリームテクノロジーズを買収し、同社がもつ接続性管理技術を合わせて提供できる体制となっていた。

 これらによって、IoTソリューションベンダーは、開発したIoT機器をグローバルに展開し、機器の設置場所で利用できるネットワークに自動的に接続し、初期設定や運用保守を一元的に行うことが可能となった。

 今回新たに、トレジャーデータのソリューションが加わったことで、機器自体やネットワークに加えて、そこから収集したデータも管理・分析することが可能になった。英アームでIoTサービスグループを統括するディペッシュ・パテル プレジデントは、「デバイスからデータまでを包括した、世界初のエンド・ツー・エンドIoTプラットフォームだ」と強調する。

 トレジャーデータは、デジタルマーケティングのための顧客情報管理ツール「CDP(Customer Data Platform)」で多くの実績があるが、近年はIoTデータを管理・分析する「DDP(Device Data Platform)」としての機能強化に注力していた。

 トレジャーデータ創業者で、現在は英アームのデータビジネス担当バイスプレジデントを務める芳川裕誠氏は「顧客情報のように人の行動がつくったデータと、センサーなどのデバイスがつくったデータは、これまで明確に分かれていた。しかし、最近はそれらを統合することで、新たな価値が生まれることがわかってきた」と指摘。トレジャーデータが技術を提供した例として、ドライバーの運転傾向に応じて保険料を変動させる自動車保険などを挙げた。同社がアームに統合されたことで、このようなデータを活用した新規ビジネスをいっそう強力に支援できるようになったとアピールした。
 
(左から)ソフトバンクグループの宮内謙取締役、
英アームのディペッシュ・パテル プレジデント、
芳川裕誠バイスプレジデント

 IoTプラットフォームの領域では、アマゾンがAWSに最適化された組み込みOSや機器管理機能を提供したり、マイクロソフトがIoT機器向けのチップやOSなどから構成される「Azure Sphere」を発表したりと、クラウド事業者によるハードウェアに近い階層への進出が相次いでいる。アームがデータ分析を製品ラインアップに加えたことで、クラウド事業者や分析ツールのベンダーとも競合するかたちになるが、パテル プレジデントは「特定分野での競合はあるかもしれないが、それは問題ない。これまでトレジャーデータがさまざまなデータソースと連携してきたが、Pelionにも同様のAPIを用意していく」と述べ、競争とパートナーシップ拡大を並行して行っていく方針を示した。(日高 彰)