ニュータニックス・ジャパンは、中堅・中小企業市場に特化した新たなチャネルパートナープログラム「Nutanix Velocity」の展開を開始した。Velocityは、「Nutanix Enterprise Cloud OS」をあらかじめ組み込んだアプライアンス製品を迅速かつ導入しやすい価格帯で、顧客企業に提供するパートナー向けプログラムだ。これにより、販売プロセスやマーケティング支援の迅速化を実現する。(山下彰子)
新プログラムでパートナーと潜在市場に切り込む
見えない氷山部分を取り込む
河南敏
マーケティング統括本部
パートナーマーケティング本部
本部長
同社は、パブリッククラウドとの連携機能を持ち、複数のクラウドを一元的に管理できるEnterprise Cloud OSの提案に注力している。HCI(ハイパーコンバージド・インフラストラクチャ)に同OSを組み込んだアプライアンス製品やソフトウェアライセンスを販売するかたちで、市場への浸透を図っている。
これまでのターゲットは大規模企業が中心で、中堅・中小企業には積極的にアプローチしていなかった。ニュータニックス・ジャパンの河南敏・マーケティング統括本部パートナーマーケティング本部本部長は、「我々がこれまで取り組んできたのはIT業界全体の、ほんの氷山の一角。水面下に隠れている中堅・中小企業こそ、今後の成長が期待できる市場だ」と話す。
グローバルで見ると「中堅・中小企業は2290億ドルの市場規模がある」(河南本部長)という。この市場でニュータニックスは「今後売上げの4割を中堅・中小企業から得たい」(河南本部長)としている。
中堅・中小企業向けの戦略の一つがVelocityだ。Velocityは、速さ、速力という意味がある。中堅・中小企業は、情報システム部門の人員不足という課題を抱えている。そのため、構成を組むための時間が十分に取れない、自社でインフラを組めないといった問題がある。Velocityは18種類の構成を用意することで、顧客に最適な構成を短時間で提供することを実現したパートナープログラムだ。この構成はグローバルで共通しており、これまでの顧客の傾向を分析し、構成を決めている。
また、あらかじめ構成を用意しておくことで、見積もりの提示時間を短縮。販売パートナーの販売プロセスの迅速化にも貢献する。なお、Velocityの対象パートナーは、同社と提携するディストリビューター、プレミアムパートナー、エリートパートナーのほか、それぞれのパートナーと提携しているリセラー、SIerが含まれる。
既存インフラへの導入も視野に
販売パートナー支援策として、資料やツールを豊富に用意する。顧客にとって最適な構成を見つけやすくする比較表や、顧客の困りごとを洗い出すヒアリングシート、市場動向資料、セールスツールなどをパートナー向けのポータルサイトで提供する方針だ。
ニュータニックスがツールを揃えることで、パートナーの事前準備の時間を短縮し、迅速で最適な提案が可能になるという。また、「ツールを使うことで、遠方の顧客に電話やメールで提案する際も助けになる」と河南本部長は語る。
Velocityの推進によりEnterprise Cloud OSのユーザー層を広げた先には、既存のインフラへのEnterprise Cloud OS導入を提案し、顧客基盤のさらなる拡大を狙う。
大企業向けシステムで成功したITベンダーが、中堅・中小企業向けの展開に失敗する例は少なくない。Velocityが成功事例となるかは、中堅・中小企業向けビジネスに適したパートナーエコシステムをいかに構築するかにかかっている。