顔認証や自動運転など、画像認識を用いるシステムで活用が盛んになっているディープラーニング技術。この分野では、GPUを用いることで学習や解析を高速化できると言われており、GPUベンダーのNVIDIAなどは「GPUこそディープラーニングの基盤」というメッセージ発信を強めているが、インテルがそれに待ったをかける動きに出た。

ジョナサン・バロン
バイスプレジデント
 インテルは今年5月、画像認識システム開発用のツールキット「OpenVINO」を発表した。これは、TensorFlowやCaffeなど、機械学習の分野で広く使われているライブラリーに対応した開発支援ツールで、CPU内蔵のグラフィックス機能や、同社製の組み込み用視覚処理チップ「Movidius」、FPGAなどを利用してディープラーニング処理を最適化できる。同社のサイトで無償公開されており、今年中にオープンソース化が予定されている。

 今月、日本市場向けの説明に来日した米インテルIoT事業本部のジョナサン・バロン バイスプレジデントは、「(産業分野への画像認識導入にあたっては)ワットあたり、ドルあたりの性能が最も重要な指標となる」と話し、専用GPUを用いたシステムは、ディープラーニングにおいて確かに高い性能を発揮するものの、実際の環境では消費電力やコストが問題となると指摘。Movidiusを用いたシステムでは、専用GPUに比べ「性能÷消費電力÷コスト」の値は5倍になるとアピールした。同社ではOpenVINOの適用分野として、画像認識機能を搭載した防犯カメラ、画像診断を行う医療情報システム、生産ラインでの検品システムなどを想定している。

 バロン バイスプレジデントはOpenVINOを中心とした同社の取り組みについて「あくまで他の技術と組み合わせて用いる補完的なもの」とし、専用GPUによる画像認識と直接競合するものではないと説明。しかし「数年来、GPUがAIにとっての理想的なアーキテクチャーと言われてきたが、当社はそうではないと認識している」とも述べ、カメラなどエッジ領域でのAI処理には同社のアプローチのほうが優位であると主張した。(日高 彰)