ふるさと納税サイト「ふるさとチョイス」を運営するトラストバンク(須永珠代代表取締役)は1月30日、親会社であるチェンジ(福留大士社長)と連携して地方自治体の業務改善に取り組む方針を発表した。両社は今後、Public(公共)とTechnology(技術)を掛け合わせた「パブリテック事業」を立ち上げ、まずはふるさと納税に関わるシステムの効率化を中心に地方自治体の業務改善に注力する。

トラストバンクの須永珠代代表取締役(左)とチェンジの福留大士社長

 トラストバンクがチェンジグループに加わったのは2018年の11月。買収金額は約48億円に上る。ITコンサルティングファームであるチェンジは日本の大企業向けにサービスを展開していたほか、中央省庁や地方自治体の業務改革事業に注力しており、具体的な提案力を強みとする。一方のトラストバンクは、ふるさとチョイスにより、約1400以上の自治体と信頼関係を築き、ふるさと納税の標準化されたフォーマットを提供してきた。両社が連携することで多くの自治体で共通する、ふるさと納税に関わる業務を効率化し、そのノウハウをその他の業務にも横展開していきたい考えだ。

 「現在、自治体が抱えている課題は複雑かつ解決に多大なコストがかかるもので、その多くは人口減少に起因する」と福留社長は指摘する。総務省によれば、市町村の職員数も平成6年から平成29年にかけて54万人減っており、業務改革は待ったなしの状況となっている。これを受けて両社は、全国約1400の自治体で利用されているふるさとチョイスのシステムを起点に、業務改善を促進していく。提供するサービス体系については検討中で、チャットボットやAI、RPAを重点的に進めているという。福留社長は「特定の業務に特化したソフトウェアについても詰めている段階」としており、自治体ごとの特色に合わせた追加サービスを用意する考え。

 次の段階では、ふるさと納税以外の業務でも各自治体に標準化されたパッケージサービスを導入し、安価で効率的なシステム構築を目指す。福留社長は「自治体間で業務がある程度共通しているのに、個別にシステムを導入している。ここにはコスト最適化の余地がある」と指摘する。

 そこで両社は、パッケージサービスを開発もしくは提供するベンダーとアライアンスを組むことで標準化された共通のシステムの導入を目指す。須永代表取締役は「ふるさとチョイスはクラウド型のシステムを全国共通で提供することで非常に安価に提供できていた。このノウハウを広げていきたい」と語る。パッケージ化されたクラウドシステムを共同で構築・利用してもらうことでコスト面のボトルネックを排除する考えだ。

 当面のターゲット層としては、人口数万人規模の自治体で、特に人材不足が顕著で予算の制約が厳しい地域を中心に仕掛けていく。自治体職員によるアイデアソンを開催し、ニーズをヒアリングしつつ、将来的に共同でシステムを導入してもらう機会を模索していく。須永代表取締役は「日本の自治体は競争ではなく共創をしていかないことには立ち行かなくなってきている。多くの自治体が共に創る地域活性化の環境を構築していきたい」と意気込んだ。(銭 君毅)