企業向け検索エンジン開発の米Lucidworks(ルシードワークス)が国内市場への進出を本格化させている。最新の検索エンジンとAI(人工知能)技術を組み合わせ、さまざまな顧客接点、ユーザー接点から最適な行動を予測することで、生産性を高めたり、売上増につなげることが可能になるという。企業向け検索ソフト開発で競合するElastic(エラスティック)の日本法人の経営に携わった須田孝雄氏が今年8月、日本カントリーマネージャに就任。日本市場における事業の立ち上げを一段と加速させている。

須田孝雄カントリーマネージャ

 本国でのLucidworksの売上構成比は、「企業内検索の用途」と「ネット通販向け用途」がほぼ半々を占める。前者は社内の文書や関連データの検索用途、あるいはコンタクトセンターやヘルプデスクの資料検索。後者は検索キーワードに加えて、ネット通販サイトの操作履歴から顧客が何を求めているかをAIを駆使して類推。ネット店舗側に顧客ニーズを伝えることで、ターゲット広告を配信したり、実店舗に誘導するといった販促活動と連動させて、売り上げに結びつける用途で活用されている。

 須田カントリーマネージャは、「同僚が似たような検索をした履歴や、ユーザーの職種によって検索結果を変えたりといった的確なレコメンド(推奨)機能によって生産性を高める効果が期待できる」とし、コンタクトセンターでは「回答の速度や質の向上を図ることができる」とする。また、顧客接点の一つとしてネット通販の重要性が増している中で、国内では「自前でネット通販システムを構築するケースが増えている」として、大規模なネットショッピングモールの店子から自前店舗へと軸足を移すニーズが大きくなると見る。

 今年9月の最新バージョンでは、コンテナ化したアプリケーションを統合管理するKubernetes(クーバネティス)に対応。拡張性や柔軟性が求められる大規模システムに対応が可能なアーキテクチャーにいち早く適応している。

 企業向け検索エンジンは、以前から存在するツールだが、技術の進展のタイミングで新しいツールに置き換えられてきた経緯がある。近年では、オランダのOSS(オープンソースソフトウェア)コミュニティが発祥で、現在はElasticが開発を主導する「Elasticsearch」がシェアを伸ばし、米Lucidworksと競合関係にある。

 販売面では、SIerをはじめとする代理店販売を主軸に位置付け、製品開発面では「できる限り使い勝手をよくして、製品としての完成度を高める取り組み」(須田カントリーマネージャ)に力を入れる。単なるエンジンの単品売りではなく、検索精度を高めるための保守作業やレコメンドAIの学習の手間を簡略化しつつ、性能を維持向上するといったパッケージ製品としての完成度の高さをアピールしていくことで、Elasticsearchなどのライバルと差別化を図っていく。(安藤章司)