NTTPCコミュニケーションズ(NTTPC、田中基夫社長)は、5G(第5世代移動通信)ネットワークをテコに、同社の主力商材であるSD-WANの拡販に力を入れる。高速・低遅延の5Gは、固定回線を敷設しづらい工事現場や多くの店舗を運営しているといった業態から順に採用が進むとNTTPCでは見ている。こうした分野で同社のソフトウェアでネットワークを柔軟に制御できる同社のSD-WANサービス「CloudWAN(クラウドワン)」と組み合わせることで利便性を一段と高める。

上田信昭
担当部長

 5Gの本格的な商用サービスに先立ち、NTTPCではNTTドコモの5G用の検証施設で「CloudWAN」との動作確認を行った。情報セキュリティを確保しながら、ソフトウェアによって柔軟にネットワークの組み替えが可能なSD-WAN特性を生かすとともに、マイクロソフト「Office 365」などの各種SaaSサービス、ビデオ会議の相互接続性を検証。NTTPCの上田信昭・サービスクリエーション担当部長は、「工事現場や多店舗対応、IoTなどの幅広い分野で5GとSD-WANを組み合わせたシンプルで柔軟なネットワーク構築ができることを確認した」と話す。

 一方で、現行の4Gや固定回線で満足しているユーザー企業が、すぐさま5Gに乗り換えるとは考えにくい。固定回線では対応しづらかったり、4Gではデータ転送速度に限界を感じている、ネットワークの構成を頻繁に変更する必要があるといった「課題感を持っている業種・業態に焦点を絞った提案が求められる」(サービスクリエーション担当の進藤宙氏)と指摘する。
 
「CloudWAN」の端末を手に持つサービスクリエーション担当の
進藤宙氏

 例えば、工事現場や建設現場では、大容量のCADデータや画像データをやりとりするニーズが大きい。現行の4Gでは転送速度に不満がある可能性が高く、作業が終われば次の現場に事務所ごと移転する。また、多店舗展開をしている業態では、出店や退店が頻繁にあり、「5GとSD-WANの組み合わせことでネットワークの設定や運用の手間が大幅に軽減できる」(進藤氏)と話す。ほかにも、ビデオ会議を行うことの多い在宅勤務や、固定回線に障害が発生したときのための予備回線に5Gを使うケースも増えると予測する。

 NTTPCの企業向けネットワークサービス「Master'sONE(マスターズワン)」シリーズの一つである「CloudWAN」は、NTTグループが開発したSD-WAN技術をベースとして2017年にサービスを開始。複数のIoTデバイスを結ぶネットワーク設定を遠隔で操作するなどSD-WANの特性が評価されるかたちで、大手企業を中心に累計で約50社のユーザー企業に納入してきた実績を持つ。5Gの普及をテコに今後は中堅・中小企業にも「CloudWAN」の納入を一段と増やしていく方針だ。(安藤章司)