アマゾンウェブサービスジャパン(AWSジャパン)は、ロボット向けアプリケーションソフト開発基盤「AWS RoboMaker(ロボメーカー)」の建設業界での事例を公表した。大手建設会社の竹中工務店は、建設現場で掃除や資材搬送、記録業務などを担うロボットを動かすソフトウェアをAWS RoboMakerの基盤上で開発。ロボットを積極的に活用することで、働き方改革に役立てる考えだ。

左から竹中工務店の松尾享部長、
米アマゾンウェブサービスのロジャー・バーガ・ゼネラルマネージャー、
ブレインズテクノロジーの中澤宣貴取締役CTO

 竹中工務店では、建設業で使うロボットを(1)職人の高度な技術を機械化する「職人型専門ロボット」、(2)清掃や資材の運搬といった単純作業を担う「サービスロボット」、(3)建設現場の品質管理の記録や設備点検などを行う「調査ロボット」の大きく三つに分類している。今回、AWS RoboMakerをベースに構築したのはサービスロボと調査ロボの機能で、単純作業の繰り返しをロボットに担わせる部分だ。2020年度中の実用化を目指しているという。

 AWS RoboMakerでは、ロボット用の基本ソフト(OS)でオープンソースソフトの「ROS(ロス)」や、シミュレーションソフトの「Gazebo」などと組み合わせて、仮想空間のなかでロボットの動作を検証。完成度を高めたのちに物理ロボットに配布する。AWS RoboMaker事業を担当する米国本社アマゾンウェブサービスのロジャー・バーガ・ゼネラルマネージャーは、「何度でも繰り返し動作検証を仮想空間上で行うことで品質を高め、開発期間の大幅な短縮を実現できる」と話す。

 竹中工務店が建設現場でのサービスロボットの開発基盤としてAWS RoboMakerを採用した理由は、ロボットメーカーや協力会社など「複数の関係者が共同でロボットを運用するのに適している」(松尾享・生産本部生産企画部部長)ため。オンプレミス型で独自基盤を構築するより、パブリッククラウドベースの環境のほうが共同作業を行いやすいメリットを重視した。

 開発パートナーとして竹中工務店のサービスロボット開発プロジェクトに参画したブレインズテクノロジーの中澤宣貴取締役CTOは、「アマゾンの通販部門の倉庫では、すでに搬送やピッキングにロボットを活用しており、そうしたノウハウもAWS RoboMakerを経由して活用できる」と指摘している。

 サービスロボットの開発を巡っては、竹中工務店と鹿島建設が技術連携の関係にあるなど、建設業界の横の連携が活発化している。近年では、週末は建設現場を閉鎖し、完全週休二日制を建設業界全体で実現する動きもあり、「就労時間が短くなるなか、いかに生産性を維持するかが課題になっている」(竹中工務店の松尾部長)。サービスロボットは、限られた人的リソースを有効に活用するためのツールとして位置付けるとともに、建設業界におけるロボット開発プラットフォームとして適応。また、建築物の完成後の警備、清掃といった顧客向けサービスへの応用も視野に入れている。(安藤章司)