シトリックス・システムズ・ジャパンが働き方改革需要を捉えた生産性向上ソリューションの提案を強化している。昨年4月に尾羽沢功社長が就任して以降、働き方改革を含む業務変革やデジタルトランスフォーメーション(DX)に関するコンサルテーションを手掛ける国内外の大手コンサルファームとのパートナーシップを強化しており、「2020年はシトリックスが生産性向上の観点で有力ベンダーとして市場のメインプレイヤーになるための大きな転換点になる」(尾羽沢社長)としている。
尾羽沢 功 社長
現在同社が特に拡販に注力している商材が、「Citrix Workspace」だ。これまで培ってきたVDI技術などを基に、PCやスマートフォン、タブレット端末などのさまざまなデバイスからオンプレミス、クラウドを問わず必要なアプリケーションにセキュアにアクセスできる環境を実現したサービスだ。端末とアプリケーションを統合的に管理でき、各エンドユーザーのシステム上の動向やアプリケーションの稼働状況を分析する機能も備え、生産性向上への寄与も期待されるという。
近年では、プロセスマイニングツールのベンダーと協業して、Citrix Workspaceを提案するケースも増えているという。尾羽沢社長は、「Citrix Workspaceとプロセスマイニングツールを組み合わせると、業務プロセスごとの生産性向上やコスト削減などを定量的に示すことができる」と説明する。
一方、昨年9月にマイクロソフトがAzure上で動くDaaS「Windows Virtual Desktop(WVD)」をリリースし、有力VDIベンダーであるシトリックスの立場が微妙になるのではという見方もあったが、「全くそんなことはない」(尾羽沢社長)という。昨年11月には、Citrix Workspaceを含む同社の製品群をクラウドで提供する「Citrix Cloud」とWVDの連携ソリューションである「Citrix Cloud with WVD」を発表。「単にセキュリティを考慮したVDI導入ではなく、働き方改革に貢献できるソリューションであることが求められるようになっている。その意味でWVDだけでは機能が足りないし、Citrix CloudはSD-WANなども一緒に提案してネットワーク側からパフォーマンス向上への手も打てる。生産性向上のためには非常にいい組み合わせとしてユーザーにも評価されている」と尾羽沢社長は強調する。(本多和幸)