新型コロナウイルスの影響が長引くことが予想される中、衛生対策や対人距離を保ち、夕食会などのコミュニケーションも抑制される新しい生活様式を政府が示した。働き方への大きな影響も避けられない見通しだ。リモートワークが可能な職種を中心に、在宅勤務や分散ワークが推奨されるとともに、社内のコミュニケーションや新規顧客の開拓といった営業活動における制約が課題となっている。ITや組織運営の見直しでどこまで解決できるかが問われている。

NTTデータ経営研究所 加藤真由美 シニアマネージャー

 NTTデータ経営研究所は「緊急事態宣言」が発出された4月7日からの4日間で「パンデミック(新型コロナウイルス対策)と働き方に関する調査」を実施した。調査対象は従業員規模10人以上の企業の役員・従業員のうち20歳以上のホワイトカラー職種で、有効回答数は1158人。調査の結果、在宅勤務などのリモートワークを「継続したい」意向を示した人の割合が52.8%だったのに対して、「継続したくない」とした人は34.2%、「分からない」が13.0%と、リモートワークに対する評価が大きく割れた。「継続したい理由」を聞いたところ、通勤時間が短くなったこと、仕事に集中できることなどが挙がり、逆に「継続したくない理由」には、リモートワークでできる仕事には限界があることや社内のコミュニケーションがとりにくいことなどが挙がった。

 調査を担当したNTTデータ経営研究所の加藤真由美・ビジネストランスフォーメーションユニットシニアマネージャーは「リモートワーク環境での課題は、そう簡単には解決できず、新型コロナ問題が解決するまで続く可能性がある」と指摘。その上で、オンラインセミナーを積極的に開催して新規顧客の開拓につなげたり、各種の情報共有ツールを活用してクラウド上に仮想的なオフィス空間を構築するといった創意工夫によって部分的にでも補うことは可能だとも強調。「見通しが難しい事態に直面しても、その環境を逆手にとって事業継続や成長につなげられる人材の育成が急務」だと話す。

 早くからリモートワークを実施しているあるSIer幹部は、「既存客はリモートでもコミュニケーションできるが、新規顧客の開拓はリモートでは困難」「これまで蓄積してきた人脈やキャリアの貯金を切り崩しているようだ」と、過去の資産への依存感が強いことが課題だと話す。新型コロナの影響が長引くことを前提に、過去の資産の食い潰しのフェーズからいち早く抜け出し、新規ビジネスの創出につなげる工夫や発想の転換が求められている。

 NTTデータ経営研究所の調査では、生活様式の変化にも着目。「職場での飲み会」が減ったとした人のうち、半数余りが「減ったままのライフスタイルが好ましい」と回答。一方、家族といっしょに過ごす時間が増えた人のうち、およそ3分の2が「増えたままのライフスタイルが好ましい」としている。新型コロナ禍が働き方のみならず生活様式の変化、ひいては消費行動にも影響を与えることをうかがわせている。(安藤章司)