TISは、スマートフォン用のウォレット(財布)やプリペイド式のデジタル口座など顧客接点となるフロントエンド領域の決済事業の拡大に力を入れる。この領域は、例えばウォレットの利用者数やデジタル口座のチャージ額に応じて課金する「レベニューシェアの形態が主流」(中村健・営業企画ユニット副ジェネラルマネージャー)で、シェアを増やすことが安定収益につながる。フロント領域でシェアを伸ばしているサービス事業者にTISが独自で開発しているデジタル決済プラットフォーム「PAYCIERGE(ペイシェルジュ)」を採用してもらえるよう売り込みに力を入れ、景気の変動に左右されにくい安定した収益基盤の強化を進める。

中村 健 営業企画ユニット 副ジェネラルマネージャー

 昨年度(2020年3月期)のTISの決済関連事業の売り上げは、前年度比50%増の225億円と近年のキャッシュレス決済の増加が追い風になって大きく伸びた。ただ内訳を見ると、バックエンド領域の個別SIの比率が大きく、フロントエンド領域は50億円規模にとどまっている。今年度も同27%増の285億円の伸びを見込んでいるが、「バックエンドとフロントエンドの比率は大きく変わらない」(中村・副ジェネラルマネージャー)と見ている。個別SIは年度ごとの売り上げが立ちやすいのに対して、レベニューシェアモデルは複数年度にわたって課金するため売り上げが平準化するためだ。

 決済サービス事業者は、決済単体で勝負するのではなく、金融商品やネット通販、公共、教育、就職、住居などのサービスと「複合的に組み合わせて収益を得ていくモデルが増える」とし、より複雑化する需要に応えていくことでフロント領域のビジネスを伸ばしていく。(安藤章司)