日本テクノ・ラボ(松村泳成代表取締役)は、同社が開発する映像監視ソフト「FIREDIPPER(ファイヤーディッパー)」による新規顧客の開拓を進めている。新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐ目的で、人の動きを追跡する需要が高まっており、これまであまり取引がなかった一般オフィスや小規模施設の管理者からの引き合いが増加。顔認証の機能や熱を感知するサーマルカメラと組み合わせ、「コロナ感染が疑われる発熱した人の特定や、移動経路の追跡といった用途で相談が増えている」(松村代表取締役)という。

(左から)小長谷岳人部長、松村泳成代表取締役、武藤克則部長

 FIREDIPPERは、主要カメラメーカーの映像を統合的に管理できるマルチベンダー対応や、火災報知器や非常扉に取り付けたセンサーと連動する機能が評価され、空港や発電所、高速道路、港湾施設、プラントなど主に大規模施設で採用されてきた。同社の映像監視ソフト関連の売上高のうち、7割がこうした大規模案件が占めている。

 だが、長引くコロナ禍のなかで、「発熱などの症状がある人を特定したい」(武藤克則・業務執行役員映像セキュリティユニット部長)というニーズが増大。今年6月、カメラに写った人物が誰なのかを判別する「顔認証」や、サーマルカメラとの「検温連携」の機能を追加したところ、一般オフィスや小規模施設など「これまであまり取引がなかった顧客層」からの引き合いが急増した。

 顔認証では、オフィス入り口のセキュリティゲートのカメラと、社員証の読み取り装置のデータを連動させ、ゲートを通過する度に得られるカメラ映像をAIが学習していくことで、マスクや眼鏡をかけていたり、髪型が変わったりしても、高い精度で本人を特定できるようにした。これにサーマルカメラのデータを統合することで、オフィスや施設内に発熱の疑いがある人が紛れ込んでしまったとしても、カメラの映像から当該人物がいまどこにいるのかが瞬時に分かる。

 従来の主要顧客層である大規模施設では、非常扉や火災報知器などのセンサーと連動し、異常があった付近のカメラ映像を瞬時に呼び出す「デバイスやセンサーとの連動システム」を強みとしてきた。今回の社員証の読み取り装置やサーマルカメラとの連動も、この技術を生かしたものだ。

 同社ではほかにも、プリンタへの出力データを読み取り、印刷が認められていない文書の印刷を未然に防ぐソフトも開発している。直近では、「オフィスのみならず、在宅勤務している人のプリントデータも管理する用途として引き合いが増えている」(小長谷岳人・情報セキュリティ開発ユニット部長)といい、先の映像監視と合わせて市場の変化に素早く適応することで、セキュリティ関連事業の成長につなげている。(安藤章司)