企業で使う間接材の購買支援サービスの競争が激しさを増している。今年に入って海外で実績があるSaaS企業の日本進出支援を手掛けるジャパン・クラウド・コンピューティングが、米国の独立系購買支援大手のクーパ・ソフトウェアと合弁で日本法人を設立し、国内での事業を本格的に拡大。国内で先行する日立製作所やSAP Aribaを猛追する。外資系2社と対峙するかたちとなった日立は、クーパの動きに連動するように自社の間接材購買支援サービス「TWX-21 MRO集中購買サービス」で比較的弱かったデータ分析機能を大幅に強化。サービス向上に向けてアクセルを踏む。

クーパ・ソフトウェア 日本法人 小関貴志 社長

 クーパは欧米圏を中心に業績を伸ばしており、昨年度(2021年1月期)連結売上高は前年度比39%増の5億4164万ドル(約595億円)。原動力となっているのが購買データを分析し、どこでどれだけ買えば間接材に使う経費を最も抑えられるのかを算出する分析能力だ。オフィスや工場の消耗品、印刷費、セミナー会場費、清掃・廃棄費などの経費を個々の企業だけで分析しても、本当に安いのかどうか分かりにくい。多くのユーザー企業の購買データを合算して割り出せば、「相対的に安いのか高いのかが、より明確になる」と、日本法人の小関貴志社長は話す。

 一方、日立のTWX-21 MRO集中購買サービスは、国内を中心に約760社のユーザー企業を擁している。ユーザー企業が同サービスを使ってサプライヤーから間接材を購入する方式のみならず、日立がユーザー企業に代わって間接材の購入を代行する“共同購買方式”も選べるのが特徴だ。今回強化した分析機能では、データ分析ツールのTableau(タブロー)を使い、購買代行を使った場合と自身で購入した場合の差額や、部門ごとの前年比較、出張旅費や物流費といった間接材の購買以外のデータなどもTableauに集約して比較検討できるようにした。

 MRO集中購買サービスからTableauへはシングルサインオン(SSO)でき、かつ「個別にTableauとライセンス契約を結ぶことなく、MRO集中購買サービスのオプション契約のみで使えてとてもお得だ」と、同サービスを担当する日立の杉浦康信・IoT・クラウドサービス事業部SaaSビジネス推進本部部長は胸を張る。また、同社の森岡俊行・SaaSビジネス推進本部主任技師は、「20年余りにわたって購買サービスを手がけるとともに、国内のサプライヤーとのパイプも太く、間接材の購買力はユーザー企業から支持を得ている」と話す。
 
日立製作所 森岡俊行 主任技師

 間接材の集中購買の市場は、直接材を購入するサプライチェーンと並んで成長傾向にあり、クーパが提供するサービス「Coupa」を国内で販売するビジネスパートナーも着実に増えている。直近では、野村総合研究所やアクセンチュア、デロイトトーマツなどが国内パートナーとなっており、Coupaを使った間接材にかかる費用削減のコンサルティングサービスを手掛けている。日本法人の小関社長は、「国境を越えて最適化が進んでいる直接材のサプライチェーンに比べ、間接材は拠点ごとでバラバラに購入しているケースが少なくない」と最適化する余地が大きいと話す。
 
日立製作所 松岡里咲氏

 間接材の購入費は売上高の1~2割を占めると言われ、ここにかかるコストを圧縮できればそのまま利益増につながる。日立ではオプションメニューとして取り入れたTableauによるデータ分析によってユーザー企業の間接材購入の最適化を推進。向こう3年でユーザー企業を1000社に増やした上で、「うち半分にデータ分析サービスを使ってもらう」(SaaSビジネス推進本部の松岡里咲氏)ことを念頭に置いている。(安藤章司)