ローコード開発ツールを駆使したSIを強みとするBlueMeme(ブルーミーム、松岡真功社長)は、中小企業向けに個別開発した業務アプリをSaaS方式で提供する事業を本格化させる。同社が強みとするローコード開発の技術とアジャイル開発の手法を組み合わせ、中小企業ユーザーの価値創造の根幹を担うシステムを、迅速かつテーラーメイドでつくってSaaS方式で使ってもらう。同社では「テーラーメイド型SaaS」と呼称している。
中小企業ユーザーは、独自性に富んだビジネスを手がけていても、業務アプリを個別に開発する予算や時間がなく、業務の効率化やプロセスのデジタル化に課題を抱えているケースが散見される。仮に個別に開発したとしても維持運用が十分にできず、業務の変化にシステムが追随できなくなってしまうことが多かった。結果として、表計算ソフトなどを使った手作業で業務処理を行う人海戦術に頼らざるを得ない企業も少なくない。
テーラーメイド型SaaSはこうした課題の解決策として提供するもので、ほとんどプログラミングを行わなくても業務アプリを開発できるローコードツールを使い、アジャイル開発で業務が変化しても都度それに対応したシステムにアップデートしていくというコンセプトだ。SaaS方式で提供するため、情報システム担当者の確保が難しい中小企業ユーザーでも運用の負荷がほとんどかからないという。「中小企業の競争力の向上や、手作業の部分を減らすことで人員不足の解決につなげる」と、松岡社長は話す。
松岡真功 社長
すでに従業員数十人の中小企業ユーザー向けに1~2カ月でテーラーメイド型SaaSを開発するプロジェクトを先行的に手がけており、実績も出始めている。ユーザー企業のビジネスモデルを可視化してシステムに落とし込めば、あとはローコード開発ツールによって業務アプリはほぼ自動で生成されるという。サービスをブラッシュアップし、多様なビジネスモデルに対応可能でクオリティにバラつきが出ない業務アプリ開発のメソッドを確立するとともに、さらなる納期短縮にも取り組む。
BlueMemeは、ポルトガルのローコード開発ツールOutSystemsを活用したSIで業績を伸ばし、6月29日に東証マザーズに上場。約15億円の資金を調達しており、これを元手にまずはテーラーメイド型SaaSを中核サービスとして中小企業向けのローコード/アジャイル開発ビジネスを伸ばし、新規顧客を開拓する。松岡社長は「まだ誰も進出していない領域であり、成功すれば先行者利益を見込める」と見る。また、今後はローコード開発ツールを使った複雑なシステムの開発や大規模開発にもビジネス領域を順次拡張していく方針だ。(安藤章司)