沖電気工業(OKI)のAIエッジ端末を中核としたパートナーが増えている。大手SIerやクラウドベンダー、通信キャリア、スタートアップ、ユーザー系企業など「協業パートナー」は直近で92社まで拡大。今年5月の87社から増えており、年内にも100社を超える勢いで推移している。交通や社会インフラ、製造などの分野におけるユーザー企業との実証実験を通じた「共創パートナー」も82社に増えた。この7月には、AIエッジ端末を軸とした協業パートナーによる第1回目のビジネスマッチングで実施した63件の商談のうち、30件余りが商談継続となるなど、AIエッジ領域の需要の大きさを裏付ける結果となった。(安藤章司)

日立Lumadaなどと連携を加速

 協業パートナーが増えた背景には、交通や社会インフラ、製造現場などでAIエッジコンピューティングに対する需要が拡大していることがある。それに加えて、OKIのITソリューション事業がAIエッジ端末や各種センサーに重点を置いていることから、総合ITベンダーや大手SIer、クラウド領域を得意とするベンダーから見て「組みやすい相手」(坪井正志・取締役専務執行役員ソリューションシステム事業本部長)であることも挙げられる。
 
坪井正志 専務

 OKIは「組みやすさ」を前面に押し出して、AIエッジ端末を軸にユーザー企業や同業他社、スタートアップとの共創/協業するエコシステムを2年近くかけて構築してきた。最初のきっかけは2019年10月に発売したAIエッジコンピューター「AE2100」(写真参照)で、実証実験を通じてユーザー企業の課題を解決する共創プロジェクトや、大手SIer、スタートアップ企業、教育機関とAIエッジ領域での協業を推進。その結果、ユーザー企業との共創や、同業他社との協業、スタートアップ企業などとの共創/協業エコシステムの形成にこぎ着けた(図参照)。
 

 AIエッジコンピューター「AE2100」は、汎用的なAI推論エンジンの実行環境を実装し、推論結果をクラウドや基幹系システムへ反映することで、より効率の良いIoT環境を実現する。防災システムへの適用例では、山間部の降雨量や気象予報の情報、河川の氾濫が危惧される下流域の水位といった情報を学習済みのAIアルゴリズムにかけて、氾濫の危険度を予測する用途に活用している。これまでは水位を人の目で見て判断していたが、エッジコンピューティングとクラウド基盤を組み合わせることで「より的確な予見が可能になる」と坪井専務は話す。
 
AIエッジコンピューター「AE2100」

 ほかにも、道路を走行している車両の種類を画像認識で識別するといった用途では、画像を判別する処理をAIエッジ端末で行うことで、クラウドやネットワークへの負荷を減らすとともに、処理速度も速くなる。

 また、エッジ側でAIアルゴリズムを駆動させるOKIの技術が評価されるかたちで、モーターなど回転機械の不具合を予兆検知する日本ユニシスのサービスに採用されたり、データ起点で価値を創出する日立製作所の「Lumada」との連携を始めるなど、同業他社との協業も急ピッチで進んでいる。