三越伊勢丹システム・ソリューションズ(IMS)は、既存システムと新規開発したアプリとの橋渡し役を担う「三越伊勢丹ビジネスプラットフォーム(MI-BPF)」を開発した。AWSなどのメガクラウドを基盤としつつ、既存システムと新アプリをつなぐ役割を担うPaaS的な位置付け。今月にはPOS関連のベンダー2社との協業を発表するなど外部ベンダーとの連携も進んでいる。
藤本 忍 営業担当長
MI-BPFについて総務・事業推進統括部事業推進部の藤本忍・営業担当長は「既存システムに手を加えることなくデータ連携が可能なビジネスプラットフォーム」とし、三越伊勢丹で培ったノウハウや知見を応用して開発を進めてきたと説明する。三越伊勢丹では、婦人靴の販売に当たって顧客の足のサイズをあらかじめ3Dスキャナで測定し、サイズに合った靴の在庫の有無を瞬時に判別するサービス「YourFIT365」でMI-BPFを活用。既存の在庫管理システムなどとの橋渡し役をMI-BPFが担うことで、既存システムを改修することなく、新規アプリの開発速度や自由度を格段に高めた。
POSシステムの領域では、オープンリソースと4U Applicationsとの協業を始めている。新規事業の立ち上げには、新しいアプリの開発を伴う場合が多く、いかに早く安く開発するかが課題になる。大規模な既存システムを抱えるユーザー企業であればあるほど切実な課題となっており、「外部ベンダーとも協業を進めながら、来年度(2023年3月期)中には数社の顧客に実際に使ってもらえるようにしたい」(藤本営業担当長)考え。
ほかにも、三越伊勢丹の日替わり食材配達サービス、オンライン型カスタムオーダー、オンライン総合ギフトサービスなど「オンライン領域のサービスを迅速に立ち上げる需要にMI-BPFは柔軟に対応している」(藤本営業担当長)と話す。
IMSの昨年度の売上高は146億円。このうち、グループ向けが8割余りを占めていたが、今回のMI-BPFをテコに早い段階で外部顧客向けビジネスの比率を3割程度に増やしていく方針。
(安藤章司)