Lenovo Group(レノボ)が2014年10月にIBMのx86サーバー事業を買収してから間もなく8年となるが、同社のITインフラ製品部門であるインフラストラクチャー・ソリューション・グループ(ISG)は昨年度(2022年3月期)、事業買収以降初めての黒字決算となった。ISGで最高顧客責任者を務める、ウィルフレード・ソトロンゴ・シニアバイスプレジデントはこのほど、週刊BCNの取材に応じ、今後はISGが全社の利益を牽引するとの見通しを示すとともに、パートナーエコシステムにも一層の投資を行う方針を強調した。
ウィルフレード・ソトロンゴ シニアバイス プレジデント
IBMのサーバー事業を手に入れてから黒字決算を迎えるまでに7年半を要したことについて、ソトロンゴ・シニアバイスプレジデントは「利益よりもお客様の信頼を得ることを優先し、市場に向けた投資を行っていた。ここ2年あまりは、コスト効率が良くなったこと、そしてコロナ禍でのIT需要が世界的に高まったことによって、事業規模を拡大すると同時に利益面での改善が行えた」と説明。時間をかけて製品の改善とマーケティング活動に投資してきたことで、最近では高付加価値の商材の売れ行きが伸びていることも黒字化に貢献したとしている。
また、当初はPC事業に比べて販売チャネルが限られていたが、パートナー網の拡充によって、より多くの顧客と接点を構築できたことも業績改善の背景にあった。今年は新たなパートナープログラム「Lenovo 360」を開始し、パートナーはレノボのPC、インフラ製品、サービスを一つの窓口から調達できるようになった。ソトロンゴ・シニアバイスプレジデントは「従来ISGはほかの部門に支えられていたが、これからは自分たちで生んだ利益を再投資して成長できる。PCに次ぐ第2の部門として全社の利益に貢献する」とし、販売チャネル向けの還元策や、事業開発の支援もより手厚くしていくと語った。
(日高 彰)