中堅・中小企業ユーザーの基幹系システム領域に焦点を当てたユナイトアンドグロウの運用支援サービスが好調だ。同社は、基幹系システムにおける中長期の運用計画策定をはじめとするITコンサルティングサービスから実際の運用代行に至るまでを総合的に支援するビジネスモデルを2010年に確立。以降、ほぼ連続して好業績を続けており、2022年12月期の連結売上高は前期比12.5%増の23億円、営業利益は12.0%増の3億2400万円まで伸ばした。
須田騎一朗 社長
同社は従業員数50~1000人の中堅・中小企業ユーザーをターゲットとし、さらにそのなかの「コーポレートIT」と呼ばれる基幹系システムの運用支援や代行に焦点を当てているのが特徴だ。コーポレートIT領域の専門知識を持つ従業員が、ユーザーの情報システム部門を補佐することで、「顧客接点のデジタル化や業務変革といったユーザーの売り上げや利益の伸びに直結するビジネスITの領域に、ユーザー企業のIT人材を振り分けやすくする」(須田騎一朗社長)のが同社の基本戦略となっている。
大手企業ユーザーであれば、ITコンサルティング会社やSIerがつきっきりで支援できる予算を確保しやすいが、中堅・中小企業ユーザーではハードルが高い。そこで、基幹系システムの専門人員を複数のユーザー企業でシェアする方式でコストを下げている。例えば、月・火曜はA顧客、水曜はB顧客、木・金曜はC顧客のように一人が複数のユーザーの基幹系システムの支援を行うことで、ユーザー企業の金銭的な負担を軽減。また、ローコード開発ツールを使った内製化支援も拡充することで、ユーザー企業の業務改善に努めている。
複数のユーザー企業のオフィスを渡り歩くことになるため、顧客ターゲットは東京都内かその近郊に絞っていることも同社のコスト削減に役立っている。昨年度末の実働ベースの顧客数が217社で、うち都内の顧客が9割を占める。効率化の追求によって、「ターゲット市場における競争力やシェアの拡大といったドミナント戦略を加速させる」(須田社長)方針を打ち出す。
近年ではIT系スタートアップ企業の顧客が増えているという。IT技術者が多く在籍する業態であるにも関わらず支援を必要とするのは、ビジネスITに人的リソースをより多く割り当てたいとする需要が根強くある現れ。同時に「ビジネスITの変革には、縁の下で支えるコーポレートITの整備が欠かせないことから、外部に支援を求めるケースが増えている」と、外注する動機付けが強いのも追い風と須田社長は分析する。
こうしたことから、23年12月期の売上高は前期比14.6%増の26億円、営業利益は17.9%増の3億8200万円を見込むとともに、10年後の33年には売上高で100億円規模、従業員数は足元の220人余りから1000人への増強を視野に入れる。
(安藤章司)