マイクロソフト在職中だった一昨年の夏。40歳を目前に、「自分は何をしたいのか」を問い直した。その結果、経営者としての経験を積みたいという気持ちになり、モバイルビジネスコミュニケーションズ(mbcc)のCOOという職を選んだ。mbccは、パソコンベースのアプリケーションを携帯電話などのモバイルデバイスで利用する技術に強い。同じビジネスはマイクロソフトにいても経験できただろうに。「IBM、マイクロソフトと、強力な米国企業で仕事をしていると、どうもナショナリズムが目覚めて」日本発で世界にアピールできる技術をもつ企業にこだわりを感じる。
「携帯電話の利用者の質は、間違いなく日本が世界ナンバーワン」と、強い自信をもつ。とくに自社の技術は、「システムの専門家じゃない人が『すごい!』と言ってくれる。ユーザーに極めて近い」ことが大きなイニシアチブだ。「ライバルは全世界に38社ある。しかし、ユーザーは携帯電話がビジネスアプリケーションの利用に使えるか疑心暗鬼。利用が進まないため、今年前半で市場のプレーヤーは半分になるだろう」「日本でシェアをとりつつ、ワールドワイドでのサバイバル競争にも勝ち抜く自信がある」40歳の決心が世界を切り拓く。
プロフィール
(さくま かずゆき)1961年生まれ。慶応義塾大学経済学部卒。87年、日本IBMに入社、官公庁対象の営業担当となる。94年、マイクロソフトに入社、官公庁を中心に大企業向け営業を展開する。01年5月よりモバイルビジネスコミュニケーションズ取締役兼COO。